久々の区民体育会、喫煙場所を巡る懸念 法律上、学校敷地内は原則禁止…加熱式たばこは

福井県の福井市内のある地区の体育大会プログラムに書かれている喫煙に関する注意事項

 福井県の福井市内の多くの地区で5月下旬にかけて、区民体育大会が小学校などを会場に行われる。新型コロナウイルスの影響でほとんどが4年ぶりの開催となり、この間に子どもの受動喫煙防止のため学校敷地内での喫煙が法律で禁止された。県内の専門医は喫煙場所が適切に設置されない可能性を危惧し、「子どもの健康や未来のことを考えてほしい。目指すべきは、たばこの煙がないことだ」と訴える。

副流煙に有害物質多く

 県済生会病院呼吸器外科顧問の小林弘明医師は「(フィルターを通らない)副流煙には喫煙者本人が吸う主流煙より高濃度の有害物質が含まれる。特に子どもへの影響は大きい」と強調する。

 学校や病院、行政機関、児童福祉施設敷地内での喫煙は、2019年7月施行の改正健康増進法で禁止された。地域行事などで学校施設を利用する人も対象で、施設管理者、喫煙者ともに罰則がある。一方、県保健予防課によると、敷地内であっても例外的に▽区画をする▽標識の掲示▽利用者が通常立ち入らない―の条件を満たせば特定屋外喫煙場所を設置できる。

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喫煙者のモラル頼み

 小林医師は区民体育大会の喫煙場所について「法律を理解せずに、以前と同じように子どもが行き交う場所に設けるところもあるのではないか」と懸念する。福井市スポーツ課は今年2月、「学校の意向や指示に従って」と各地区の担当者に通知したが、喫煙場所に限った具体的指示はしていないという。

 21日に体育大会を行う市内のある地区は、喫煙は敷地外の指定場所のみとする。プログラムに明記し、開会式でも徹底を呼びかける。大会委員長の男性は「敷地外を含めて一切の喫煙を禁止した方がいいと思うが、喫煙者の反発が大きいはず。喫煙場所は子どもが近づかない場所にするように配慮する」と話した。

 改正法では喫煙者への罰則はあるが、受動喫煙対策は喫煙者のモラルに委ねられるところが大きい。小林医師は「子どものことを考えて吸わないでほしい。受動喫煙にこれだけなら大丈夫という安全域はない」と警告する。

加熱式たばこも受動喫煙?

 近年、加熱式たばこを使用する人が増えている。加熱式たばこの受動喫煙による健康への影響は明らかになっていないが、蒸気に有害物質が含まれているため、改正健康増進法は規制の対象としている。

 県済生会病院呼吸器外科顧問の小林弘明医師は「加熱式は紙巻きより大幅に減った有害物質もあるが、増えている物質もある。WHO(世界保健機関)は紙巻きと同じ規制をするよう勧告している」と指摘する。

 蒸気はすぐに見えなくなるが、レーザーで可視化すると、周囲に広がっていることが分かるという。「加熱式でも受動喫煙は起こる」と訴えた。

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