7回の流産「絵手紙が救ってくれた」 悩み苦しんだ女性が教室開催 哀しみ、モヤモヤ…筆に込め共有を

「天使ママの絵てがみ教室」を開いている外園佳代子さん=西宮市柳本町

 長い間、不妊治療を続け、度重なる流産に苦しんできた兵庫県西宮市の女性が、この春から絵手紙教室を開いている。つらい気持ちも表現でき、「過去の私を救ってくれた」という絵手紙。今度は誰かの役に立ちたいと、9月下旬まで市内の公民館で月2回開く。「お空の上の赤ちゃんに想(おも)いを伝える」「同じ哀(かな)しみを経験した者同士が、想いを共有できる場になれば」。そんな願いを込めて-。(中島摩子)

 不妊ピア・カウンセラーやライター、絵手紙作家として活動する同市の外園佳代子さん(51)。これまでに7回の流産と不妊治療を経験し、現在は夫と2人で暮らす。

 昨年10月には、神戸新聞が「生きづらさ」をテーマに広域面や電子版で展開している特集「生きるのヘタ会? てんてん×神戸新聞」で、「不妊治療・不育症」の当事者として経験を語った。

 外園さんが、春から開いているのが「天使ママの絵てがみ教室」だ。「天使ママ」とは、流産や死産などで子どもと死別した母親を表現する言葉として知られており、教室の参加対象は、天使ママとその家族。絵手紙に初挑戦の人や、市外の人も歓迎している。

 外園さん自身、絵手紙に出合ったのは2006年、1回目の流産の後のこと。毎日ふさぎこんでいたが、「集中して手を動かしていたら無心になれて、頭がすっきりする気がした」。教室に通い、「自由にのびのび表現できる世界」にのめり込んだ。

 10年には大阪市内のカフェで個展を開催。不妊治療や不育症の苦しみに直面する日々を送りながら、絵手紙には「人に言えない気持ちやモヤモヤをはき出すことができた」といい、赤ちゃんを思って筆を動かしたり、「ホントはずっと泣きたかったんだ」などの言葉を添えたりしてきた。

 その後、NPO法人Fine(東京都)の不妊ピア・カウンセラーの資格を取り、50歳から活動を開始。その一環で、いつか絵手紙教室をと考えていたとき、西宮市が募集していた「公民館活用促進プロジェクト」に企画が通り、本年度上半期の実施がかなった。

 毎月第1土曜は大社公民館(同市柳本町)、第3土曜は瓦木公民館(同市瓦林町)で、いずれも午前10時~11時半。外園さんは「おしゃべりをしたり、絵手紙を描いたりしながら、ほっこりした時間をご一緒しましょう」と呼びかけている。

 受講料は各回500円(材料費別)。筆や顔彩などの持ち込みは不要。申し込みはメール(hokahoca@gmail.com)で、件名に「絵てがみ教室」と書き、名前と電話番号を記す。

© 株式会社神戸新聞社