看板文字再現のTシャツ、公認グッズに 閉館した別府市のヤングセンター【大分県】

「ヤングセンター」の看板文字をモチーフにしたTシャツを販売するトビイルツさん(左)=別府市鉄輪
大衆演劇と温泉で親しまれたヤングセンター。赤い文字で「ヤ ン グ」=2018年

 【別府】別府市在住のイラストレーター、トビイルツさんが、2020年3月に閉館した鉄輪の名物観光施設「ヤングセンター」の看板文字「ヤング」をモチーフにしたTシャツの販売を始めた。鉄輪温泉の象徴的な風景の一部だった看板文字を書き起こしたもので、センター公認グッズとして売り出す。

 ヤングセンターは1953年に創業し、大衆演劇と温泉を楽しめる施設として県内外のファンに愛された。閉館後に解体が進み、看板も姿を消した。

 トビイルツさんは、2019年から鉄輪の湯治宿「ひろみや」の1階部分にプライベートギャラリーを開設。「ヤソグ」とも見える看板文字を残そうと、さまざまな角度で撮影した写真を基に独特の書体を再現した。21年夏、チャリティーを目的に「ヤング」のロゴ入りTシャツを期間限定で有志と販売し、121枚を売り上げた。売上金の一部は、観光客と地域住民の交流拠点にもなっている「ひろみや」に寄付した。

 ヤングセンターの記憶を継承することにもつながると、継続的に販売することを決意。元経営者と著作権利用の許諾契約を結び、公認グッズとして展開する。Tシャツ以外のグッズ販売も計画中で、売り上げは鉄輪の町づくり費用などに充てたいという。

 トビイルツさんは「明るいイメージと郷愁を感じる『ヤング』の文字。多くの人に着てもらうことで、ヤングセンターの記憶をつないでいきたい」と話している。

 Tシャツはアイボリー、グレー、ライトイエローの3色。価格は3900円。「ひろみや」と鉄輪の地獄温泉ミュージアム内のカフェ「50CAFE」で販売している。

© 有限会社大分合同新聞社