柔らかレトルト酢飯、日出町の企業が商品化 備蓄食や嚥下食での利用も想定【大分県】

寿司飯すし姫を開発した重岡孝士社長。防災備蓄食や医療、介護食としての展開を目指している=日出町藤原
エコデパックが開発した「寿司飯すし姫」と「しいたけ塩」

 【日出】レトルト商品の製造、販売を手がける日出町の「エコデパック」は、レトルトでは珍しい酢飯を商品化した。食べやすくするため柔らかめに仕上げており、防災備蓄食や病院、福祉施設での食事としての活用も想定。海外を含めて販路拡大を目指す。重岡孝士社長(65)は「ぜひ多くの人に手にとってもらいたい」と話している。

 名称は「寿司飯すし姫」。商品化のきっかけは熊本・大分地震での重岡社長の経験だった。被災地はおかずが不足気味だったため、支援物資として届けた白ご飯のレトルト食品だけでは食べにくそうだったという。「塩や砂糖が入っていて、そのままでも食べやすい酢飯」の必要性を感じ、2016年から商品開発を始めた。

 県産のうるち米を使い、七分づきにして栄養価を高める工夫をしている。粘り気を減らすため米粉の原料米「ふくのこ」を配合し、仕上がりは柔らかめ。被災地で不足しがちな食物繊維はニンジンを加えて補った。食べる際は湯せんか電子レンジで加熱する。製造日から1年間保存できる。

 県内の医療関係者や患者への聞き取りを踏まえた商品で、備蓄食としてだけでなく嚥下(えんげ)食としての利用も可能という。現在は医療、介護現場への売り込みを進めている。

 重岡社長は「防災備蓄食としての価値を高められるよう保存期間を延ばす取り組みを進めている。もちろん、すしとしても食べられるので『新しい主食』となるように提案していきたい」と話した。

 商品は同社ホームページのインターネット販売や「あすかうどん麺屋新三郎赤松峠店」(町内藤原)で購入できる。1袋(150グラム)の価格は550円(税込み)。問い合わせは同社(0977.72.6639)。

■「しいたけ塩」も同時開発

 エコデパックは「寿司飯すし姫」の発売に合わせ、減塩につながる「しいたけ塩」を同時開発した。

 藻塩に県産の乾シイタケパウダーを配合した。シイタケのうま味成分が加わったことで、少量でも料理をおいしく味わうことができるという。1本(45グラム)の価格は550円(税込み)。

 重岡孝士社長は「健康に配慮した商品だが、シイタケのうま味成分が効いて何に使ってもおいしくなる。ぜひ試してもらいたい」と話した。

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