澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。メジャーリーグ武者修行の旅でアメリカ中を飛び回り、全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。
美し過ぎる野球場
「息を呑む美しさ」とは、まさにこのこと…。フィールドと対面した瞬間に広がる眺望は、圧巻です。PNCパークと、センターの向こう側に見えるピッツバーグの街の美しさが重なります。
球場沿いの「アレゲニー川」にかかるのが、パイレーツのレジェンドから名付けられた「ロベルト・クレメンテ橋」です。改修工事と塗り直し作業は今年中に終わる予定で、トレードマークの黄色が、よりくっきり映え、明かりも灯るようになります。
夜になると、ライトに照らされた緑の芝と、ダウンタウンのビル群とが美しく交差。MLBファンの間で「全米No.１のボールパーク」に選ばることもしばしば。贅沢な景色が広がる空間で、野球を楽しみにいきましょう！
PNCパークへ
ピッツバーグ国際空港から、ダウンタウンへと向かいます。車で20分ほどの道中には、NFL（アメリカンフットボール）など、他競技のスタジアムもあり、スポーツディストリクトとして地元の人たちに人気の地区です。
2001年にオープンした野球場は、レトロな外観、「鉄の街」らしい剥き出しの鉄骨、道を照らす灯りの全てが、雰囲気抜群。正面玄関で、史上最高の遊撃手とも言われる、ホーナス・ワグナーさんの銅像に出迎えられたら… PNC Park! Nice to meet you!!!
深夜便で到着し、意気揚々と朝からスタジアムに向かいましたが、あいにくの雨天中止。２日間の予定だったので、なんとか試合を観られました。
野球界の偉人 ロベルト・クレメンテさん
プエルトリコ出身のロベルト・クレメンテさんは、生涯パイレーツでプレーしました。MLBでヒスパニック系の選手が活躍する先駆けとなった、野球殿堂入り選手です。
彼の多岐にわたる功績を讃え「人格者であり、慈善活動を精力的に行っているMLB選手」に贈られる「ロベルト・クレメンテ・アワード」は、MLB選手にとって最も名誉ある賞のひとつです。
リスペクトを込め、球場の「ロベルト・クレメンテ橋」に最も近いセンター側には銅像が立っています。試合日は車の通行が規制され、歩行者専用になるため、ピッツバーグの街から歩いてくるファンが必ず通る場所で出迎えてくれます。
海賊たちに会える
19世紀に誕生した伝統球団は、1891年からパイレーツの名で愛され続けています。文字通り、球場のあちこちで、愉快な「海賊たち」がビールを飲んでいます。声をかければ、その威厳と、熱いパイレーツ愛を示してくれます。
チームの愛称「Bucks」とは、海賊を意味する「Buccaneer」が由来です。筒香嘉智選手（昨季在籍・現レンジャーズ）のことが大好きな海賊たちと出会いました。「カリブの海賊」の歌詞になぞらえて「YO-HO! YO-HO! Yoshi! Tsutugo!」と歌うと、手を振り返してくれたことが、大切な思い出なんだそうです。
Ballparkの楽しみ方
ピッツバーグ地元民に人気の「カラブ・フライズ」がおすすめです。シーズニングがかかったポテトを、濃厚あったかなメルティングチーズに、たっぷりディップ！ ちょっとひんやりしてくるピッツバーグのナイトゲームに、身も心も暖めてくれます。
そしてこの日は「パピーナイト」と呼ばれるイベントが行われていました。愛犬を連れて野球観戦が出来る「テラスシート」は完売。犬たちも、楽しげなボールパークの雰囲気を、思う存分堪能しているように感じました。
高いところにも座席があるので、俯瞰で観る景色も素敵です。「ロベルト・クレメンテ橋」を渡って球場へとやってくるお客さんたちの姿、夕焼けに照らされ輝くダイヤモンド、ダウンタウンの夜景…。息を呑む美しさを、ぜひ体感してくださいね！
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福田太郎（ふくだ・たろう）／ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年２月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、22年12月に復職。写真：福田太郎
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