盛岡の老舗すし店、愛され幕  1948年創業「お多福寿し」20日閉店

閉店を知り、訪れた常連客と会話を弾ませる奥良二さん(右)と陽子さん

 盛岡市大通のすし店「お多福(たふく)寿(ず)し」が20日、閉店する。長女の病死をきっかけに「お店にも永遠はない」とタイミングを捉え、店をたたむ決断をした。1948年の創業以来、75年にわたり多くの地元客や来県者に愛され続けた老舗の終幕に、惜しむ声が上がっている。

 常連や出張、旅行で通っていた客から届いた花、店名にちなんだ酒などが飾られている店内。「お知らせはせず、ひっそりと閉店するはずだった」が、店を通じて親交を深めてきた人々が訪れ、カウンター8席と4人掛けテーブル四つは連日ほぼ満席だ。

 「とにかくお客さんに感謝を伝えたい」。店主の奥良二さん(78)が繰り返す。青森県田子町出身で「たこちゃん」の愛称で親しまれてきた。30歳で叔母から店を継ぎ、以降は妻陽子さん(66)と協力して毎日休まず営業。気軽に集える温かい店づくりに力を注いできた。

 営業は午前11時~午後2時、同4時~同11時。

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