戦禍と心情伝える一冊 花巻の永井悦子さん自費出版

戦地の過酷な状況などを伝える伯父祐造さんの手紙をまとめた永井悦子さん

 花巻市桜台の永井悦子さん(79)は、日中戦争時に出征先の中国で伯父祐造さんがつづった手紙や日記などをまとめた「誰かの息子」を自費出版した。祖父の哲太郎さんが大切に保管していたものを、約1年かけて筆写。戦地の過酷な状況や古里、家族への思いがにじむ言葉を通じ、戦禍の実態を伝える。

 祐造さんが書いた33通や家族、知人が祐造さんに宛てた26通などを時系列で収録する。「無事に体格検査も終えて一人の立派な軍人となりました」と書かれた1937(昭和12)年8月2日の手紙に始まり、38年10月1日に栄養失調で27歳で亡くなるまでの姿が分かるよう仕上げた。

 A5判121ページ。150冊作成し、知人らに配布した。問い合わせは永井さん(0198.24.2564)へ。

© 株式会社岩手日報社