運転免許「お試し」自主返納しませんか 公共交通や店舗サービスなど特典も 滋賀県警

お試し自主返納を終えた人に交付される「修了証」などを手に持ち参加を呼びかける県警職員(大津市打出浜・県警本部)

 高齢ドライバーに運転免許の自主返納を促すため、滋賀県警は自主返納を1カ月程度「お試し」できる取り組みを5月から始めている。参加者に交付される証明書を提示すると、公共交通や店舗のサービスなどで一定の特典を受けることができ、自主返納のメリットを体験して返納後の生活をイメージしてもらう。

 県警交通企画課によると、昨年県内で起きた交通事故は2862件で、このうち65歳以上の高齢者が運転手だった事故は617件と、21.6%を占める。死亡事故38件のうち、高齢ドライバーによるものは8件(21.1%)だった。

 高齢者の交通事故は出合い頭に起こる割合が比較的高く、視野が狭くなることや、左右確認が不自由になることが原因とされる。昨年5月からは、75歳以上で違反があった人は、更新時の運転技能検査が義務づけられた。

 こうした中、県内では昨年、4746人が運転免許を自主返納。ただ、高齢の免許保有者が年々増加する一方、2020年以降、運転免許を自主返納した人は減少している。

 「お試し自主返納」では、65歳以上を対象に、車を運転しない生活を1カ月程度体験する。申し込み後に郵送される「お試し自主返納証」と運転免許証を提示することで、京阪電車の1日乗車券「びわ湖1日観光チケット」や、はり・きゅう院の施術を割引価格で利用できる。また、彦根市など一部の自治体では、予約型乗り合いタクシーや路線バスの回数券1冊が無料交付される。

 同課の伊吹貴也交通事故分析官は「返納後の生活をイメージして、家族で返納について話をするきっかけにしてほしい」と呼びかける。

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