【中国】アリババの23年3月期、2年ぶり増益確保[IT]

中国電子商取引(EC)最大手、阿里巴巴集団(浙江省杭州市、アリババグループ)が18日発表した2023年3月期本決算は、純利益が前年比17.0%増の725億900万元(約1兆4,200億円)だった。増益は2年ぶり。主力の国内EC事業の売り上げは伸び悩んだが、各種コストの抑え込みやのれん代の大幅縮小などが増益に寄与した。

営業利益は44.1%増の1,003億5,100万元だった。売上原価、販売・マーケティング費を抑え、利息収入・投資収益の損失は前年から約3割減少。のれん代は約9割圧縮した。

売上高は1.8%増の8,686億8,700万元。このうち主力の中国商業事業(卸売り・小売り含む)は1.5%減の5,827億3,100万元だった。新型コロナウイルスの流行などが響き、ECサイト「淘宝(タオバオ)」と「天猫(Tモール)」の総取引額(GMV)は前年と比べ1桁台の減少となった。一方、国際商業事業は13.3%増の692億400万元と伸びた。

その他事業の売上高は、クラウド事業が3.5%増の772億300万元、物流事業が20.8%増の556億8,100万元、出前アプリ「餓了麼(ウーラマ)」を中心とする生活サービス事業が12.3%増の501億1,200万元、デジタルメディア・娯楽事業が2.4%減の314億8,200万元など。

■第4四半期は黒字転換

23年1~3月期(第4四半期)決算は、純損益が235億1,600万元の黒字だった。前年同期は162億4,100万元の赤字。堅調な売り上げに加え、約105億元の利息収入・投資収益を計上したことが大きい。

営業利益は前年同期比8.8%減の152億4,000万元。

売上高は2.0%増の2,082億元。事業別では◇中国商業事業:2.9%減の1,360億7,300万元◇国際商業事業:29.3%増の185億4,100万元◇クラウド事業:2.1%減の185億8,200万元◇物流事業:17.6%増の136億1,900万元◇生活サービス事業:17.3%増の125億4,900万元◇デジタルメディア・娯楽事業:3.3%増の82億7,300万元——など。

■事業会社の上場計画が始動

アリババグループは、スーパーマーケット事業の「盒馬」と物流事業の「菜鳥」の上場計画を始動したと明らかにした。盒馬は向こう半年~1年内、菜鳥は1年~1年半内にそれぞれ新規株式公開(IPO)を実施する。

界面新聞によると、アリババグループの張勇・最高経営責任者(CEO)は、クラウドや人工知能(AI)などの事業会社、阿里雲智能集団からクラウド事業の「阿里雲」が分離し、上場する計画を明らかにした。1年内の上場を目指す。

■AI言語モデルに20万社参加申請

アリババグループによると、現在までに20万社以上から同社開発のAI言語モデル「通義千問」のテスト申請を受けた。

アリババグループは4月11日、通義千問を発表した。

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