朝乃山「応援が力に」 横綱しのぐ人気ぶり 全勝に充実感

 元大関朝乃山は幕内復帰の場所の序盤戦を全勝で終えた。3日目に危ない相撲もあったものの、序盤の5番は全て朝乃山が前に出る相撲を貫いており「しっかり体が動いてくれている」と充実感も漂わせる。原動力になっているのはファンの存在だ。「声援が力になっている。うれしい」と語り、大歓声に応える活躍を誓う。

 36歳のベテラン碧山を難なく退けた朝乃山が勝ち名乗りを受けると、国技館に200枚近い応援タオルがはためいた。連日、朝乃山を目当てに来場した多くのファンが応援タオルを手に声援を送る。応援の大きさは横綱や大関をしのぐ。

 取組後、土俵を下りた朝乃山は10秒以上、天を仰いだ。この時の心境を問われた朝乃山は「声援が大きいので、とてもうれしい。意識はないけど、下を向くよりは上を向く方がいい」と話した。無意識の行動だったというが、幕内の土俵で戦えていることへの喜びを感じさせる。

 場所前は立ち合いの踏み込みを課題に挙げていた。「踏み込みで負けると、自分の形になれない。1歩目、2歩目を意識している」という。突き、押しといなしが得意の碧山に対し、迷わず踏み込んだことが白星につながった。土俵に上がる元大関の背中に迷いはない。

 東京はこの日も真夏日となり、暑い夏場所となってきた。場所は中盤戦に入っていくが、朝乃山は「夜もぐっすり眠れ、食事もとれている。気持ちを保って、戦っていきたい」と決意を新たにした。

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