2022年度に水揚げ、八戸沖の珍魚たち 水産資源研(青森・八戸市)に聞く

ツバメウオ
コトヒキ
体色異常のキアンコウ

 サバ、イカ、イワシなど多様な魚類が水揚げされる八戸港では、漁師たちもなかなか出合えないような珍魚が見つかることがある。2022年度、八戸沖で網にかかった魚のうち、青森県八戸市鮫町の水産研究・教育機構水産資源研究所に情報提供があった珍しい魚たちを成松庸二、三澤遼両博士に紹介してもらった。(写真は同研究所提供)

▽ツバメウオ

 22年11月24日に揚がった個体。本来南方の魚種であり、国内では主に南日本や琉球列島などで見られる。この個体は漂流物などにくっついて海流に乗って、偶然流されてきたものとみられる。普段は沿岸を回遊しており、定置網にたまに入る。個体の大きさは23センチほど。約60センチまで成長するので、まだ幼魚とみられる。大きなひれが特徴で、成長するとおでこの部分が徐々に前に出てくる。

▽コトヒキ

 22年11月24日から28日までの間に、水深30~50メートルで大久喜沖の定置網によって漁獲された。国内では主に関東以南で見られる。沿岸など水深が浅い場所、河口などに生息する。体と尾びれのしま模様が特徴で、魚のうろこを食べることで知られる。骨が硬く、一部専門家の間では味が良くないという見解もある。

▽キアンコウ(体色異常)

 23年3月13日に水揚げされた個体。一般的なものは全体的に茶色っぽい一方、この個体は黄色が体の大部分を占めている。このような体色異常は遺伝的に生まれつきの可能性が高い。魚類の体色はいくつかの酵素の影響を受けており、今回は、一部の酵素の働きが著しく抑制されメラニンの合成が不十分になっていると推測される。同種の体色異常は日本海側で数例が確認されるのみで、太平洋側では珍しい。

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