「雇い止めは無効」元非常勤講師へ未払い賃金支払い命じる 学生のアンケ評価巡り

京都地裁

 関西福祉科学大(大阪府柏原市)の元非常勤講師の男性(57)=京都市左京区=が、担当学生からの評価が低いことなどを理由に雇い止めされたのは不当として、同大学を運営する玉手山学園に地位確認などを求めた訴訟の判決が19日、京都地裁であった。児玉禎治裁判官は雇い止めは無効と判断し、未払い賃金の支払いを命じた。

 判決によると、男性は2016年4月から英語を担当する非常勤講師として1年間の雇用契約を締結し、4回にわたって契約を更新した。有期労働契約が通算5年を超えた場合、労働者から申し込めば無期労働契約へと転換できる定めがあるが、大学側から、学生のアンケート評価や単位取得率が低いことを理由に契約を更新しないことを告げられ、21年3月末で雇い止めされた。

 児玉裁判官は、アンケート評価の結果は他の教員に比べて大きく下回っていたとは言えず、教科書レベルに基づいて忠実に授業を行っていたと指摘。契約更新を重ねてきた男性が雇用の継続に一定の期待を抱くことには合理性があるとし、「雇い止めは合理的な理由を欠き、社会通念上是認できない」とした。

 判決を受け、代理人の中村和雄弁護士は「非常勤であっても不合理な理由で雇い止めにならないと認めてもらえた」と評価。関西福祉科学大は「判決文を確認していないのでコメントは差し控える」とした。

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