「巖の命の恩人です」と御礼 “袴田事件”審理で釈放の決定 村山氏と袴田姉弟が初の対面

いわゆる「袴田事件」で死刑判決を受けていた袴田巖さんと9年前に袴田さんの釈放を決めた静岡地裁の元裁判長が5月19日、東京都内で初めて対面しました。

19日、都内で行われた再審=裁判のやり直しについて考えるイベントには、1966年、旧清水市で一家4人を殺害したとして死刑判決が下され、2023年3月、再審が確定した袴田巖さんと静岡地裁の元裁判長、村山浩昭さんが出席しました。

<2014年の静岡地方裁判所>

「再審開始です」

村山さんは9年前、静岡地裁で行われた袴田さんの裁判のやり直しを求める審理を担当し、再審開始を決めました。さらに「拘置を継続することは耐えがたいほど正義に反する」として、死刑囚という立場のまま釈放するという異例の決定を下し、袴田さんは48年ぶりに拘置を解かれました。

村山さんは当時、袴田さんとの面会を試みましたが、長年の拘留によって精神状態が不安定となった袴田さんが拒否したため、2人が対面するのは19日が初めてです。

<袴田さんの姉・ひで子さん>

「ただ、ありがとうと言うだけではなくて、これが1年遅かったら、巖は必ず獄中死してたと申し上げた。村山先生のおかげで、出していただいたおかげで、胆石の手術もして命拾いをしたのだから命の恩人ですと申し上げた」

村山さんは非公開の場で袴田さんと姉のひで子さんと対面し、「再審が確定して良かったですね」などと声をかけ、姉のひで子さんは感謝の言葉を述べたということです。

<ひで子さん>

「(巖さんは)ごにょごにょって何か言ってましたけどね、御礼だと思います。御礼の言葉を述べたつもりだと思います」

<元静岡地裁裁判長 村山浩昭さん>

「生きておられて良かったです。ひで子さんには『本当に長いこと大変でしたね』と。あと、ひで子さんのことは私は『一人の人間として尊敬している』と申し上げました」

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