家具・家電持たず捨てず ユニークなサブスク手がける新興企業  SDGsにも貢献、横浜銀も融資

個人向け家具のイメージ。自社でオリジナルの家具開発も手がける(クラス提供)

 家具や家電製品の定額貸し出しというユニークなサービスを手がけるスタートアップ(新興企業)がある。「持たない、捨てない」生活への切り替えを掲げて5年前に創業したクラス(東京都)。昨年には相模原市のSDGs(持続可能な開発目標)パートナーに。その縁で、横浜銀行(横浜市西区)がSDGsへの貢献度を評価した上で投融資する枠組みでの資金調達も実現した。どんな事業でどう時代を見据えているのか。久保裕丈社長(41)に聞いた。

 事業を思いついたのは、自身の引っ越しで家具を捨てることに疑問を抱いたのがきっかけ。家具や家電は製造過程での二酸化炭素(CO2)排出量が多いとされ、捨てずに長く使えばCO2削減につながると考えた。

■1位はベッド

 事業は配送料無料で、利用・交換が可能なサブスクリプション(定額)サービス「CLAS」。月額440円の貸出品からあり、個人利用の平均は数点で月額5千円弱という。利用のトップは捨てるのも取り換えるのも大変なベッドや寝具で、オフィスチェア、冷蔵庫と続く。

 事業の信頼や信用に関わるのが、家具や家電のメンテナンスだ。戻ってきたものを次の人のためにクリーニングし、修理する部署は「人間で言えば『肺』のようなもの。きちんとノウハウを積み上げていきたい」と久保社長。

 「“暮らす”を、自由に軽やかに」が合言葉だが、それを支えるのは、メンテナンス部署の“職人技”に加え、机一つでもテーブルや脚などパーツごとに寿命を管理する自前のシステムでもある。

 「ベンチャーでありながら、先行投資が大きい」と話すのもうなずける。既に約7千平方メートルの倉庫を有し、10万点を管理。循環に配慮した家具のプライベートブランドも作った。

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