「松山さんに追いつこう」比嘉一貴がメジャー初の予選通過 海外で知った“事実”

自身3度目のメジャーで初の予選通過(Maddie Meyer/PGA of America via Getty Images)

◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 2日目(19日)◇オークヒルCC(ニューヨーク州)◇7394yd(パー70)

決勝ラウンド進出をかけた戦いが終盤に差し迫った頃、リーダーボードに目をやった。「松山(英樹)さんに追いつこう」。事前練習からお世話になった先輩は通算3オーバーで先にホールアウト。比嘉一貴は後半13番(パー5)までの2連続ボギーで4オーバーにしても、下を向かなかった。

初日は前半に4連続バーディを奪いながら、結局「72」に終わっていた。「きのうは『これ以上、落としたらどうしよう』と思ってやっていたので、(きょうは)上にいる先輩を目指そうと」。後退ムードを断ち切るべく、14番から2ホール続けてショットで3m以内にチャンスメーク。ソフトになったグリーンのライン読みに失敗したが、高難度の終盤もひるまなかった。

2バーディ、5ボギーの「73」。通算5オーバーは結果的に第2ラウンド開始時の38位からカットライン上の59位に順位を下げたが、決勝ラウンド進出という結果がたしかに残る。

日本の賞金王は海外メジャーを謙虚に戦い抜く(Darren Carroll/PGA of America via Getty Images)

キャリアで初めてのメジャーだった昨年の「全英オープン」に続いて、ことしの「マスターズ」で予選落ち。実は今週、コースチェックの段階では「今回が一番、予選通過が難しいかなと感じていた」と明かす。難度の高いセッティング。「入ったらダメなラフ、距離も長くて。過去のメジャーに比べたらハードだった。今までの予選落ちの経験は少しずつ自分の力になっているのかなと思います」と悔しさを糧にして自信を深めた。

昨年度の日本ツアー賞金ランキング1位の資格で、今季は欧州ツアーに参戦。アジアンツアーにもスポットで出場した。海外転戦を繰り返す中で知ったことがある。

「僕が(日本ツアーの)賞金王だとは誰も分からない。注目されるのは日本でだけのこと。本当に関係ない、過去のことだというのが僕の中では分かります」。ここにいるのは似たような、いやそれ以上の肩書きを持つ選手ばかり。気負わず、謙虚に戦い抜く。(ニューヨーク州ロチェスター/桂川洋一)

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