長崎が初めて迎えたG7閣僚会合 「MICE都市の大きな実績」も、市民らとの交流なく 県市で課題検証へ

閉幕後の加藤勝信厚労相の記者会見会場。海外メディアの姿はなく、期待通りの情報発信がなされるかは不透明感も漂う=長崎市尾上町、出島メッセ長崎

 長崎県長崎市で13、14日に開かれた先進7カ国(G7)保健相会合。閉幕した14日、大石賢吾知事と鈴木史朗市長が報道陣の取材に応じ、「国際MICE(コンベンション)都市として大きな実績をつくることができた」と開催の意義を語った。一方で、海外メディアの姿はなく、市民らとの交流の機会もほぼないなどの課題も見え、さらなる誘致につなげるため県市で検証する考えを示した。
 長崎県初のG7閣僚会合となったG7保健相会合は長崎市のMICE施設「出島メッセ長崎」を会場に開催。議論の成果を盛り込んだ「G7長崎保健大臣宣言」が採択された。
 大石知事は「国際的な保健分野の取り組みにおける宣言に長崎という言葉が入ったことは意義がある」と強調。海外メディアの参加はなかったが、県産品でもてなした地元主催の昼食会で会合出席者が写真を撮っていたことを例に挙げ「発信力、発言力がある要人に(本県の魅力を)持ち帰っていただいた」と今後の情報発信に期待を寄せた。
 国は要人警護などを理由に会合の詳細な情報を直前まで明かさず、地元関係者からは「市民が身近に感じる場面は少ない」との嘆きが聞かれた。会場周辺では厳重な警備態勢が敷かれ、関係者以外の入場を制限。会場内では長崎大をはじめ、医療、保健関係の企業や非政府組織(NGO)などが計24ブースを出展したが、訪れる人はまばらだった。ある出展者は「国際会議での発信や情報交換を期待して来たが、こんなに(入場者が)少ないとは」とこぼした。
 大石知事は「本来の会合の目的を達成するのが一番。安全に実施できた」とした上で、「どのように交流を生み出すか」が課題との認識を示し「市とも振り返りをし、しっかりと次につなげたい」とした。
 鈴木市長は引き続き国際会議を積極的に誘致する考えを表明。「日本がG7サミットをホストする2030年、長崎に誘致できるような実力を付けたい」と意気込んだ。
 一方、米国など核保有国を含む各国の閣僚らが出席する保健相会合は、被爆地長崎として核兵器廃絶と世界平和への思いを届ける絶好の機会と期待され、関係者からは長崎原爆資料館の訪問や被爆者との面会を求める声も上がっていた。
 14日、G7閣僚らがそろって平和公園で花を手向け、黙とう。一部の国が資料館を訪問したが、被爆者との面会はなかった。
 両氏は「タイトな日程だったが、G7とEU(欧州連合)そろって献花していただいたことは大変意義がある」と評価。大石知事は被爆者との面会について「われわれの裁量で決めることができず、日程的な制約もあるが、どうやったら実現できるか、考えていく必要がある」と述べた。

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