幽玄の舞、高岡の祖しのぶ 富山県の瑞龍寺で燭光能

ろうそくの光の中、能を奉納する演じ手=瑞龍寺

 高岡開町の祖で加賀藩2代藩主の前田利長をしのぶ「利長忌」が20日、利長の菩提(ぼだい)寺である国宝瑞龍寺(富山県高岡市関本町)で執り行われた。ろうそくの炎が揺らめく法堂(はっとう)内で「燭光能(しょっこうのう)」が奉納され、約70人の参拝者が幽玄の世界を堪能した。

 追善法要に続き、演目「雲林院(うんりんいん)」が披露された。伊勢物語を愛読する摂津国の男が、夢のお告げに導かれて雲林院を訪れる物語。シテを広島克栄師(国重要無形文化財総合指定保持者、金沢能楽会)、ワキを平木豊男師(同)が務めた。

 三味線演奏やダンスリサイタルがあったほか、高岡市立博物館の仁ケ竹亮介主幹が「古文書から見える瑞龍寺」と題して講演した。

 燭光能は、利長の三十三回忌に3代藩主の利常が奉納したのが始まりとされる。1984年に国宝瑞龍寺保存会が利長忌を始めてから毎年続けている。

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