重臣背信 どうする家康? 富山県の高岡市立博物館、北条宛て書状公開

展示している家康の書状

 富山県の高岡市立博物館は20日から、所蔵する徳川家康の書状を公開している。家康が同盟関係にあった北条家の北条氏規(うじのり)に宛てたもので、重臣が豊臣秀吉側に寝返るという危機的状況の中、冷静さを見せようとしたのが伝わる内容。博物館は「研究上も重要な史料。古文書の魅力を感じてほしい」と話す。7月30日まで。

 市立博物館が書状を展示したのは16年ぶり。放送中のNHK大河ドラマ「どうする家康」に合わせて企画した。「石川数正(かずまさ)が裏切った!どうする家康?」と題したコーナーを設け、解説パネルと共に紹介している。

 書状は1585(天正13)年11月28日付。当時は家康が真田家攻略に失敗し、秀吉との対立が深まる中、重臣で機密情報に通じる石川数正が秀吉のもとへ出奔したピンチだった。

 博物館によると、書状は「ますます堅固に備えるよう領内の諸城に申し付けた」「上方(秀吉)との間には今のところ特に変事はなく、状況は安心してよいものと思う」と伝えている。真田攻めへの協力に感謝し、真田家に注意するよう要請。徳川四天王の一人、榊原康政を使者としたことも分かる。縦31.4センチ、横47.7センチで、中央で折る形式。家康の名前と花押(サイン)が記されている。

 書状は戦後、高岡市伏木地区の寺畑家が所有し、17年前に同家の故寺畑喜朔金沢医科大名誉教授が博物館に寄贈した。日本史の史料集「大日本史料」に掲載され、大阪城での展示に貸し出したこともある。

 仁ヶ竹亮介主幹は「まさに『どうする』という状況の中、冷静さを装っているのがうかがえる。400年以上前の本物の迫力を感じてもらいたい」と話した。

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