元天竜市長の再審 認めない決定は「証拠を開示していないため」弁護団が即時抗告の理由報告

旧天竜林業高校の調査書の改ざんをめぐる贈収賄事件で、見返りに現金を渡したとして2008年に有罪判決を受けた元天竜市長の裁判のやり直し=再審請求の結果について5月22日、浜松市で報告会が行われました。

裁判のやり直しを求めているのは旧天竜市の中谷良作元市長(90)です。元市長は、旧天竜林業高校の生徒だった孫が志望していた大学の推薦入試で応募資格を満たすよう調査書を改ざんさせ、謝礼として元校長に現金20万円を渡した罪で2008年に罰金70万円の略式命令を受けました。

しかし、えん罪だとして2020年、再審を請求しました。2023年5月8日、浜松簡裁は元市長の請求を棄却し、11日付で弁護側は決定に不服を申し立てる即時抗告をしています。

5月22日、弁護団は浜松市で報告会を開き、元市長が当時残した手書きのメモなど新たに提出した証拠に対し「新規性は認めるものの確定判決を疑うに足る明白性は認められない」とする裁判所の決定の概要を説明しました。さらにこの決定に対し、「検察側が充分に証拠を開示していない上での結果だ」とする即時抗告の理由を訴えました。

現在、入院している元市長本人は「今回の決定は残念だが、死ぬまで戦う」とコメントを寄せています。元市長の再審請求の審理の舞台は即時抗告により東京高裁に移ります。

中谷良作元天竜市長

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