朝乃山勝ち越し 1敗堅持、トップに並ぶ

 大相撲夏場所(両国国技館)9日目の22日、東前頭14枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は同10枚目の竜電(高田川部屋)を寄り倒し、13場所ぶりとなる幕内の勝ち越しを決めた。横綱照ノ富士に初めて土がつき、朝乃山と照ノ富士、明生がトップで並ぶ展開。朝乃山は「1敗して変に意識しなくなってきた。緊張感の中で自分の相撲が取れている。これを続けたい」と静かに闘志を燃やした。

 先に手をついた朝乃山。立ち合いで鋭く踏み込んで右を差し、得意の右四つに持ち込むも、相手に左上手を許して苦しい体勢となる。左の巻き替えを狙いながら、相手の下手を切ってじりじりと寄っていき、すかさず左上手をつかむと、落ち着いて寄り倒した。

 けんか四つの相手で、差し手争いを予想していたが、左上手を取られる展開となり「相撲は良くない」と反省した。

 体勢が悪くなると、強引な投げや寄りで勝負を急ぐのが悪癖として指摘されていたが、この日は違った。攻めを急がずに自分の体勢をつくる動きを見せ「相手の下手を切ったのも初めてだった。『まわしを切れ』ってずっと言われている。無意識で反応できた」と手応えも口にした。

 9日目を終え、1敗の朝乃山ら3人に続き、2敗には関脇の霧馬山と若元春、平幕の平戸海、北青鵬が並ぶ。

 10日目の23日は西前頭9枚目の平戸海(境川部屋)と対戦する。初顔合わせとなる平戸海は朝乃山の謹慎期間中に力を付けてきたホープ。稽古熱心で知られ、小柄ながら力強い相撲を取る。

 NHKのテレビ解説を務めた舞の海秀平氏(元小結)は朝乃山について「1敗できてますから、三役とはこれから当たっていく」と指摘。終盤戦に向けて上位陣との対戦も増えてくる見通しで、土俵の熱気も高まってくる。

 勝ち越しの次の目標は2桁。10勝目は幕内通算200勝目の節目でもあり、歩みを着実に進める。

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