リスクは?注意点は?…生成AI活用へ行政も模索 埼玉県が職員勉強会、さいたま市教委は研究会設置

生成AIについて学ぶ埼玉県職員ら=22日午後、埼玉県庁

 対話型人工知能(AI)「チャットGPT」に代表される生成AIへの埼玉県職員の理解促進を図ろうと、県は22日、「生成型AIの動向と活用について」の勉強会を行った。

 県DXプロジェクトチームが企画した勉強会では、三菱総合研究所の高橋怜士主任研究員を講師に、大野元裕知事をはじめ県職員ら593人が行政への活用方法やリスクについて学んだ。

 高橋さんは生成AIについて「社会実装まで距離があると考えていたが、ここ1年で流行した」と説明。理由を「低コスト化と気軽な利用」と分析し、「タスク(問題)によっては平均的な人間に相当する性能が出せる」と、複数のデータを用いて解説した。

 利用については「プロンプト(入力)テクニックが最も重要」と指摘。セキュリティーに注意することや、人が成果物を最終確認するなど、利用者がリテラシーを高めることが必要だとした。

 行政への活用は議事録作成システムを例に挙げ、内部システムへの組み込みも効果的としつつ、「データ連携が重要だが、セキュリティーに注意が必要」と話した。

 大野知事は高橋さんへの質問で「内部システムに組み込んでもいいのではないか」と述べ、活用に前向きな姿勢を示した。

■教育現場での可能性、研究会を設置し模索/さいたま市教委

 さいたま市教育委員会は22日、対話型人工知能(AI)「チャットGPT」などに代表される生成AIについて、「生成系AI活用研究会」を設置すると発表した。25日に第1回研究会を開催し、子どもたちの学び方、教員の教え方、教員の働き方改革などでの活用の可能性を模索するほか、子どもたちの利用のルール作りを検討するとしている。

 市教委の細田真由美教育長は同日の定例会見で、チャットGPTなどの生成AIについて、「教育の世界でも多大なる影響を及ぼすと考え、議論は避けて通れない。今後どのように使っていけば学びが深まるかなど、研究会で意見交換していきたい」と述べた。

 市教委によると、児童生徒の使用するアカウントで、生成AIの使用はできない設定になっている。一方、個人的なアカウントによる使用は可能なことから、教職員やIT専門家らの参加する研究会で、ルール作りを検討する。

 生成AIを巡っては、市長部局が実証実験を始めている。市デジタル改革推進部によると、個人情報を入れない、情報が正しいとは限らないため事実確認を行うなどのルールを取り決めて実施しているという。

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