【全文】「日本警察の警備に終わりはない」広島県警トップがサミット応援警察官に送った感謝の言葉 “重層的な構造”お好み焼きに例えて…

G7広島サミットの警備のために全国の警察から派遣されていた「特別派遣部隊」の離県式が行われました。

広島県警察学校で開かれた式には、全国から派遣されていた警察官およそ200人が参加しました。

県警によりますと、サミット期間中、最大で2万4000人の警察官が警備にあたりましたが、うち2万1000人は県外から派遣された警察官でした。

以下、広島県警の 森元良幸 本部長が離県式で送った言葉の全文です。

広島県警 森元良幸 本部長の言葉

5月18日各国の来日で始まった G7広島サミット警備は、きのう午前、ブラジル大統領が、離日されたことにより、無事終了となりました。

警備完遂であります。

今回のサミットは、住民が多く住む広島において、米国を始めとする首脳が長期間滞在して行われ、首脳等の宿泊場所や行先地も広範囲に点在したため、その警備は難しいものがありました。

加えて、各種抗議行動も頻繁に行われ、中には過激な対応で行われたものもあったほか、右翼等による要人への執拗な接近も見られました。

広島市のホームページが、一時閲覧困難になるなど、サイバー攻撃対策も、一時の油断も許さない、緊張感に満ちたものでありました。さらに、サミット開催中にゼレンスキー大統領の出席が発表されたことにより、警備の困難度は、いっそう、高いものとなりました。

私は、11日に行われた実施部隊の入県式におきまして、多くの部隊・人員が、部分の総和で終わることなく、全体となって団結し、重層的な警備を行うこと。それと、部隊員 1人1人、すなわち個の充実した任務遂行、この2点をお願い申し上げましたが、本日、こうして無事に警備を完遂することができましたのは、ここにいらっしゃる部隊長等のみなさまが、事前に周到な準備、訓練を積んで来られたことに加え、この2点を完璧に遂行していただいたお陰にあると、心から感謝を申し上げます。

まず、個々の部隊員におかれましては、みな1人1人が警備の要であることを自覚し、疲労と睡眠不足の体をして、最後まで、歯をくいしばって頑張ってくれました。その奮闘ぶりには、本当に頭が下がる思いであります。

部隊全体の団結につきましては、冒頭述べましたように、首脳等の移動は、複雑で広範囲に及びましたが、その都度、実施、警護、交通、そして、情報、通信、事件対策、受援等々の各部隊が見事な連携をたもって、まさに重層的な警備を実践し、周到な安全確保措置を講じていただきました。まさに全体が部分の総和を超える働きを示していただいたと思っております。

この度のサミットでは、頻繁かつ長時間の交通規制などにより、県民の皆様に、少なからずご負担をおかけしました。そのような中にありましても、大変ありがたいことに、県民の皆様から、警戒にあたる警察官に対し、温かい激励の声が多く寄せられました。

部隊員の皆様が、真摯な姿勢で勤務に従事し、また、県民の方々に、親切にさわやかに接していただいたおかげであると、この点も御礼を申し上げます。

長く、厳しかった勤務を終え、いま、みなさま方が達成感を味わいつつも、心身共に、大変お疲れのことと思います。各県に戻られて、お体を休ませる時間が少しでも長くもてることをお祈り申し上げております。

私ごとでありますけれども、私は広島で生まれまして、18 歳まで過ごして参りました。広島出身の本部長として、皆さまには是非、広島の良い思い出とお土産を持ち帰っていただきたいと思っています。

広島滞在中、お好み焼きを召し上がった方も多いと思います。生地、野菜、そば、肉、玉子、等々が積み重なって、まさに、我々が実践したような重層的な構造となっています。

各具材が相互の味を引き立て、まさに我々同様、全体が部分の総和を超える食べものとなっています。各県に戻られてから、以降も、機会がございましたら、お召し上がりいただいて、その度に広島サミット警備を思い出していただければと思っています。

さて、国際情勢が厳しい中、日本の外交もこれからますます活発となり、国際会議や要人の来日、さらには地方視察の機会も増えていくものと思われます。また確実に7年後には、日本のどこかで G7サミットが開催されます。

日本警察のおこなう警備に終わりはありません。

今回のサミット警備も、こうして終わってみれば、1つの演習、訓練であります。

ここで得られた教訓事項を将来の警備に生かし、油断することなく、日本警察の警備の力をさらに磨いて参りましょう。

「勝って兜の緒を締めよ」この決意を最後にみなさんと共有して、私の心からの謝辞とします。本日まで、ご奮闘、本当にありがとうございました。

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