公共トイレ清掃員の“温かく美しい”日々を描く ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース×役所広司『PERFECT DAYS』

『PERFECT DAYS』© 2023 MASTER MIND Ltd.

現代映画における最も重要な一人とされるドイツの名匠ヴィム・ヴェンダースが新たに手がけた、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた長編映画『PERFECT DAYS』(日本公開未定)。本作が、5月16日より開催の世界中から選出された映画と、映画人が一堂に会する世界最大級の国際映画祭「第76回カンヌ国際映画祭」にて、コンペティション部門へ正式出品。

このたび、海外用の特報映像が解禁となった。平山を演じるのは、ヴィム・ヴェンダースが長年リスペクトしてやまない俳優・役所広司。ふたりの静かなセッションが、その瞬間、その瞬間にしかないものたちの美しさを描き出す。

ヴィム・ヴェンダース × 役所広司

数々の傑作を世に送り出し続けたヴィム・ヴェンダース監督が、日本の公共トイレのなかに“small sanctuaries of peace and dignity(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)”を見出し、清掃員の平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に追いながら紡いだ本作。

「この世界にはつながっている世界と、そうでない世界がある」

パリ、ロンドン、ベルリン、東京で行われた試写会で、「今の東京をこんなにも温かく、美しく、描けるのか」と驚きの声が多数あがった本作品のカンヌ国際映画祭用の映像。「この世界にはつながっている世界と、そうでない世界がある」その言葉のとおり、自分だけのルーティンのなかを淡々と生きる清掃員の平山。そしてそれを静かに揺らす出来事たち。ヴィム・ヴェンダースの見つめる詩的で温かな世界がここにある。

共演は、平山のもとに突然訪れる姪役に新人の中野有紗、その母・平山の妹に麻生祐未、平山と奇妙なつながりをもつホームレスにダンサーの田中泯、同僚の清掃員に柄本時生、そのガールフレンドに、アオイヤマダ、平山が休日に訪れる居酒屋のママに石川さゆり。その元夫に三浦友和など、他にも豪華キャストが登場する。

東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山(役所広司)。彼は淡々と過ぎていく日々に満足している。毎日を同じように繰り返しているように見えるが、彼にとってはそうではなかった。毎日はつねに新鮮な小さな歓びに満ちていた。まるで風に揺れる木のような人生である。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読み耽るのが、歓びである。いつも持ち歩く小さなフィルムのカメラで木々を撮る。彼は木が好きだった。自分を重ねているのかもしれない。あるとき彼は、思いがけない再会をする。それが彼の過去にすこしづつ光をあてていく。

© ディスカバリー・ジャパン株式会社