「神楽を世界へ」G7サミットで “広島” 発信 生徒たちが奮闘 加計高校 芸北分校

G7広島サミットの期間中、多くの人たちが広島の文化や食を世界に発信する取り組みを続けました。神楽を紹介したのは、高校生でした。

神楽の舞いに海外からの関係者の目が釘付けです。

アルゼンチンから
「日本に来て、伝統的なものを見たいとずっと思っていたので、見せてもらえて感謝している」

舞っていたのは、北広島町にある加計高校 芸北分校 神楽部の生徒たちでした。

本番前の放課後、大舞台に備えて練習に励む生徒の姿がありました。今回の舞台で舞うのは、「ヤマタノオロチ」。巨大な大蛇を退治するスサノオノミコトを務めるのは、部長の 山藤照大 さんです。

1か月前、今回の公演の話を初めて聞いたときは、とても驚いたといいます。

加計高校 芸北分校 神楽部 山藤照大 さん
「(最初はメディアの前って聞いてなかったので)おれらが首相の前で!?とかいう話になっていたんですけど、メディアさんの前っていうだけでもそういう機会をいただけるっていうのは本当にすばらしいというか、ありがたいことだなということで、みんなで発表があった日は興奮していました」

4月に入学し、神楽を始めて間もない1年生にとっては、今回が初めての舞台です。赤色の大蛇を担当する林谷さんは、少しでも先輩たちに追いつこうと必死で食らいつきます。

加計高校 芸北分校 神楽部 林谷茜 さん
「プレッシャーばっかりで、本番が近づいてきていて、楽しみな気持ちもあるんですけど、すごく緊張していて、『公演』という言葉を聞くたびにドキドキしています」

生徒たちは、撮影した映像を何度も見返し、話し合っては技を磨いていきます。

加計高校 芸北分校 神楽部 山尾一寿 さん
「合わせるシーン、あそこのシーンがびたっと決まってくれると、ものすごく格好いいので、もうちょっとそこを合わせていきたいと思っています」

太鼓担当の横畑さんは、今回の神楽の公演に強い思いで臨もうとしていました。

加計高校 芸北分校 神楽部 横畑晴一 さん
「地域の人とか広島の人、世界の人に知ってもらうことが、ぼくたちのこれからの意気込み」

そして、迎えた本番当日―。

会場にはメディア関係者など大勢の外国人が集まりました。

青色の大蛇役を務めるのは、入学して初めて神楽に挑戦する1年生です。

加計高校 芸北分校 神楽部 金田秋佳 さん
「ほぼほぼ緊張でしかないんですけど、倒れないように舞いきれるようにがんばりたいです」

午後2時すぎに始まった本番のステージでは、7頭の大蛇が舞台の上で躍動します。海外メディアの人たちは、火を吹く大蛇の迫力ある演技に興奮を抑えられません。

公演後に部員たちが集合写真を撮っていると、一緒に撮影も始めました。

カザフスタンから
「古い昔のことを大切に守り続け、それをよく理解することで、次の世代に文化がつながっていきます」

アルゼンチンから
「アルゼンチンでは、日本の文化といってもアニメに興味がある人が多いので、こういったものも広げていけばいい」

大舞台での舞いを終えて、生徒たちもほっとした表情です。

加計高校 芸北分校 神楽部 山藤照大くん
「部全体としては100点の舞いができたんじゃないかなというふうに海外の方の反応を見ていて思った」

公演後、国際メディアセンターで各国の報道陣に向けた衣装体験もしました。部長の山藤さんは、今回の体験を通じて伝統文化・神楽を高校生が継承する意味を見出していました。

山藤照大くん
「広島の高校生の代表として神楽をできてよかった。(神楽を)やり続けなければいけないっていう思いにもなるので、今回の出演とかブースを設けさせてもらったのは大きいことかなと思う」

芸北分校 神楽部の次の舞台は、夏に行われる「神楽甲子園」です。生徒たちの挑戦は、まだまだ続きます。

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