コロナ禍を越えて景気の回復とともに期待が高まるのが夏のボーナスです。静岡県内にある企業の夏のボーナスは、2022年よりアップするとの試算が5月23日、発表されました。背景には景気回復だけではない事情があるようです。
静岡市駿河区にあるラーメン店。コロナ禍で売り上げが大きく落ち込み、22年の夏はボーナスを出せませんでしたが、23年は夏のボーナスを支給する考えです。
<ジップライド 髙塚光明社長>
「今年に入ってお客さんもだいぶ戻ってきていて、ここ最近は夜の遅い時間にお客さんの動きが出てきてホッとしている」
コロナ禍を越えて、回復の兆しが見えてきた県内の企業。それを裏付ける楽しみな数字が23日発表されました。
<静岡経済研究所 清 亮介研究員>
「物価高を背景に全企業では前年比2.2%増加する見通しです」
静岡経済研究所が23日発表した23年の県内企業の夏のボーナス予想。1人当たりの支給額は38万2500円と、22年に比べて2.2%増える見込みです。
ボーナスアップは多くの人が期待しています。
<街の人>
「(ボーナスが)増えるとやる気が上がるのでぜひ増えてほしい」
「お金もらえると頑張ろうと思えるので、増えるとみんなやる気が出て景気も良くなるし一石二鳥かなと思う」
「コロナ前は旅行も行けなかったので家族旅行に行きたい」
「子どものためにも貯金などしたいので増えたらうれしい」
ただ、ボーナスアップの理由は、単純に景気回復だけではないようです。
<静岡経済研究所 清 亮介研究員>
「企業側で物価高や人材確保を背景に、従業員の待遇改善を進めているという動きがみられました。そういった効果が、今夏の賞与(ボーナス)でも同じ動きが出てくると思っています」
背景にあるのが人材の確保。特に飲食業界などではアルバイトの確保もままならない状況があり、慢性的な人材不足を解消するためには継続的な賃上げが必要だと話します。
<ジップライド 髙塚光明社長>
「この(飲食)業界、人材不足も非常に騒がれているので、人材確保のためにも(賃金の)部分で社員に恩返しをしていかなければと感じている」
人材の確保に向けては、ボーナスなどの一時金だけでなく、給与のベースアップなども求められそうで、働く側には有利な状況が、雇う側には難しい状況が続くことも予想されます。
23日発表された統計をみますと、夏のボーナス支給額はこれで2年連続アップする予想になっています。さらに注目したいのが支給対象者の数で、年々拡大しています。多くの人に賃金アップが波及していけば、景気の回復は加速することが期待されます。