今季のJ1で首位を独走するヴィッセル神戸。リーグ戦9得点で得点ランキングトップのFW大迫勇也、4得点5アシストと右サイドで躍動するFW武藤嘉紀の活躍が目立つ。
その中でもいぶし銀の活躍でチームを支えている選手がMF佐々木大樹だ。今季12試合出場中8試合が途中出場だが、チーム得点ランキング2位タイの4得点と存在感を見せている。
途中出場からでもジョーカーとして躍動し、先発すれば主軸と同等の活躍をする生え抜きの佐々木にスポットライトを当てる。
優れた技術と身体能力を併せ持つグラディエーター
今季神戸でポテンシャルを開花した選手は数多くいるが、今回焦点を当てる佐々木は攻撃面で違いを作り出している。
優れた身体能力を駆使したキープ力、チャンスシーンを逃さない決定力、簡単にボールを失わない技術など現代サッカーに求められる要素を高次元でこなしている。
また途中起用であっても吉田孝行監督の意図を理解して行動に移す戦術理解能力の高さにも秀でており、サイド、インサイドハーフと異なるポジションでも高い質で難しいタスクをこなしている。
そして守備時でも強度の高いプレスで、相手ボールホルダーに激しくプレッシャーをかけ、敵のパスワークを乱すための献身的な動きも卒がない。
ブラジルで武者修行を遂げた生え抜き
島根県浜田市出身の佐々木は中学まで地元で過ごし、高校進学時に神戸U-18に入団した。ユース世代ではいまより線が細く、テクニックに秀でたアタッカーだったという。
2017年に2種登録を果たし、翌年にトップチーム昇格した。デビューシーズンはリーグ戦6試合1得点と一定の結果を残すが、同年7月からブラジルの名門パルメイラスへ約1年間期限付き移籍した。
武者修行を経た佐々木は、現在に通じる力強さと強じんなフィジカルを身に着けて神戸に帰還した。2021年シーズンにはリーグ戦30試合出場と頭角を現した。
神戸アカデミー初のA代表となるか
意外にもこれまで神戸U-18出身選手からA代表を経験した選手は出ていない。岩波拓也(浦和レッズ)、小川慶治朗(横浜FC)と優れた選手は輩出してきたが、A代表の壁は高かった。
それでも今季成長した佐々木が代表入りのチャンスはつかめるかもしれない。
大迫のようなキープ力、武藤のような強度の高いスプリントなど代表で活躍した名手たち佐々木はとプレーして、学びを得て爆発的な成長につなげているように見える。
既に後輩の小林友希(セルティック)、小田裕太郎(ハーツ)が欧州へ渡っているが、佐々木が国内で継続的に活躍すれば神戸のリーグタイトル、欧州移籍、日本代表選出は夢ではない。
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神戸アカデミー初のA代表へ。凄まじいポテンシャルを秘めた佐々木の活躍から目が離せない。