朝乃山トップ並走 大相撲夏場所、1敗堅守

  ●近づく三役との対戦「今の自分通じるか」

 大相撲夏場所(両国国技館)10日目の23日、東前頭14枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西前頭9枚目の平戸海(境川部屋)をはたき込み、9勝目を挙げた。1敗を堅守し、横綱照ノ富士とともに賜杯レースで首位を走る。今後は三役陣との対戦が組まれる可能性もあり、朝乃山は「今の自分の力がどこまで通じるのかやってみたい」と意欲を示した。

 朝乃山は鋭く踏み込み、まわしを探る。平戸海の左おっつけに右を差せなかったが、冷静だった。低く攻めてくる相手に対し、まわしにこだわらず左へ回り、前のめりになったところをはたき込んだ。朝乃山は「前には出られなかった相撲だが、体がうまく反応してくれた」とまずまずといった表情を浮かべた。

  ●24日2敗の明生戦

 1敗をキープし、終盤戦に突入する。最初の相手は東前頭6枚目の明生(立浪部屋)だ。明生は今場所唯一、横綱照ノ富士に土をつけており、まだ2敗と波に乗る。過去の対戦成績は5勝2敗で朝乃山に分がある。ただ、直近の対戦となった2021年夏場所では、朝乃山が押し出しで敗れている。

 取組後の取材の際、次の相手が明生と知った朝乃山は「そうですね」と少し考えてから「動きがいい印象で、好調だと思う。ここまできたら思い切ってやるだけ」と覚悟を決めた。

 ちょうど取材の最中に、明生と、8日目に黒星を喫した北青鵬の取組が行われていた。モニターで中継を見た朝乃山は熱気あふれる一番に「すごい」と漏らし、士気を高めていた。

  ●「愛と正義」の化粧まわし

 賜杯レースは1敗の二人に続き、2敗に明生と霧馬山、北青鵬の3人、3敗の5人が続く。ここから星のつぶし合いが加速する。

 10日目の幕内土俵入りで朝乃山は、富山商高同窓会から贈られた化粧まわしを着用した。大関昇進時の口上で述べた「愛と正義」が刺しゅうされている。母校や地元への思いも胸に、終盤の土俵に挑む。

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