【がんばれ!郷土力士】 大の里、出世街道突進 幕下デビュー勝ち越し

生田目(右)の攻めをこらえる大の里。左下は二所ノ関親方=両国国技館

  ●師匠の前で4勝、内容は反省

  ●朝乃山9勝、トップ並走

 大相撲夏場所(両国国技館)10日目の23日、津幡町出身で幕下10枚目格付け出しの大の里(二所ノ関部屋)が4勝1敗でデビュー場所の勝ち越しを決めた。お隣富山の元大関朝乃山(高砂部屋)は9勝目(1敗)を挙げ、横綱照ノ富士と並んで幕内優勝争いトップを堅守。県勢は遠藤に続き炎鵬が休場し「関取3人衆」で唯一残る輝も4勝6敗と苦戦する中、朝乃山との北陸対決を夢見る22歳が出世街道を駆け上がる。

 審判委員の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)に土俵下で見守られながらの取組は「初めてで緊張した」と大の里。東幕下9枚目の生田目(なばため)(二子山部屋)との一番は物言いがついたものの、軍配通り押し出しで勝利した。「絶対に勝つ姿を見せたいと思っていた」と笑みを浮かべたが、守勢となった展開には「勝ち越しという言葉に邪念が入ってしまった。悔しい、情けない」と反省した。

 2年連続アマ横綱の肩書をひっさげたデビュー戦はまさかの黒星で、所要1場所での十両昇進は絶望的となったが、その後は「上で勝てる相撲を取る」と気持ちを切り替え、192センチ・177キロの圧力と技で連勝を伸ばしてきた。

 「信は力なり」が座右の銘のルーキーは「今はアマチュアの貯金で戦っている状況。どうやったら勝てるか考えていく」と謙虚に語り、残り2番に向けて集中力を高める。6番相撲は11日目の24日に組まれ、再十両確実の東幕下筆頭・紫雷(木瀬部屋)と対戦する。

  ●三役との対戦意欲

 東前頭14枚目の朝乃山は安定感のある相撲で、西前頭9枚目の平戸海(境川部屋)をはたき込んだ。今後は三役陣との対戦が組まれる可能性もあり、「今の自分の力がどこまで通じるのかやってみたい」と意欲を示した。

 24日の相手は東前頭6枚目の明生。2敗で優勝争いに残り、今場所唯一、横綱照ノ富士に土をつけている。過去の対戦成績は5勝2敗で朝乃山に分があるものの、直近の2021年夏場所では押し出しで敗れており、「動きがいい印象で、好調だと思う。思い切ってやるだけ」と力を込めた。

  ●輝4勝目

 東前頭17枚目の輝は、妙義龍を押し出して4勝目を挙げた。幕内残留を懸ける終盤戦へ「今日のような相撲を最後まで貫きたい」と気迫をにじませた。

  ●朝乃山一問一答

 ―取組を振り返って。

 前に出られなかったのは自分的には悪い相撲。うまく体が反応してくれてよかった。

 ―体は動いている。

 うーん、しっかり体が動いてくれていることを信じて、明日からまたやっていきたい。

 ―上位戦が組まれる可能性もある。

 決めるのは審判部の親方ですけど、組まれれば今の自分の力がどこまで通じるのかやってみたい。

 ―三役陣と戦いたいか。

 自分が上にいた時と、三役陣の顔触れも違いますし、巡業とか出稽古で相撲を取っても強かった。肌を合わせて刺激になってます。

 ―同期生対決。

 同期生と当たるのはたぶん豊山以来だと思う。自分が不祥事で下に落ちた時、ずっとテレビで見ていた。自分と同期とか、年代が近い人が頑張っているのを見ると、悔しい気持ちだった。やっとここまできた。

 ―取組が決まってうれしかったか。

 久しぶりに同期と当たれて、昨日の夜はうれしかった。

平戸海(手前)と立ち合う朝乃山。はたき込みで破る

© 株式会社北國新聞社