朝乃山幕内200勝 横綱と並び10勝目、トップ死守

  ●賜杯争い「何も考えず」 

 大相撲夏場所(両国国技館)11日目の24日、東前頭14枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は、東前頭6枚目の明生(立浪部屋)を突き落としで下し、10勝目を手にした。幕内復帰の場所で目標としていた2桁に乗せ、幕内通算200勝も達成。賜杯レースは元大関と横綱がデッドヒートを繰り広げる。朝乃山は「何も考えていない」と無我の境地で土俵に向かう。

  ●明生に逆転

 終盤戦の最初の相手は今場所唯一、横綱照ノ富士に土をつけている明生。朝乃山は立ち合いで左上手を取ったが脇が甘かった。もろ差しを許し、明生の速攻に後退。土俵際で弓なりになって残し、逆転の右突き落としを決めた。

 「相撲内容は悪かった。自分の相撲じゃない」。いきおい余って土俵下に転がり落ちた朝乃山の表情は曇っていた。攻勢だった明生は唇をかみながら、花道を引き揚げた。

 過去の対戦成績は5勝2敗で朝乃山に分があったが、直近の対戦となった2021年夏場所は、朝乃山が押し出しで敗れている。取組後の取材に応じた朝乃山は難敵を退けても厳しい表情で「上手を取ったけど、右を差し負けた。そこが悔しい」と反省を口にした。

 2017年9月の秋場所で入幕してから、不祥事で三段目までの転落も経験し、5年半余りをかけて積み上げた白星が節目の200に達した。朝乃山は取組後に知り「200勝はうれしい。ここから白星をもっと伸ばしていきたい」と気持ちを新たにした。

 優勝争いは1敗の朝乃山、照ノ富士が首位で並び、2敗に霧馬山、3敗に若元春、明生、北青鵬、剣翔が続く。

 12日目の25日は東関脇大栄翔(追手風部屋)との取組が組まれ、復帰後初の三役戦となる。

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