人と地域つなぐアサガオ 日比野克彦さんプロデュース 4年ぶり 水戸芸術館で苗植え

日比野克彦さん(右から2人目)と、アサガオのつるを支えるためのロープを張る参加者=水戸芸術館広場

アサガオの栽培や種の交換を通じて人と地域をつなげる「明後日(あさって)朝顔プロジェクト」が20日、水戸市五軒町1丁目の水戸芸術館などで、一般参加者を集めて4年ぶりに行われた。アーティストの日比野克彦さん(64)がプロデュースする取り組みで、参加者たちは日比野さんと一緒に、アサガオの苗植えやつるを支えるためのロープ張りなどを楽しんだ。

プロジェクトは2003年に新潟県で始まり、水戸では同館で開かれた企画展「日比野克彦の一人万博」を機に05年にスタート。毎年、春の苗植えから秋の種の収穫まで、市民らがアサガオを栽培し、収穫した種を他地域の参加者と交換し合って交流、思いを共有してきた。

一方、新型コロナウイルス感染症拡大により、20年から一般参加を見送ってきたが、コロナ対応の制限緩和を受けて今回4年ぶりに復活。水戸市(同館)と全国12地域で昨年収穫された種を、茨城県立大子清流高(同県大子町)が育苗した。

この日、同館のウッドデッキが敷き詰められた広場には、スタッフや一般参加者合わせて約70人が集まった。午前中は、日比野さんと一緒にウッドデッキを色とりどりにペイント。午後は、約300本のアサガオ苗をプランターに植えたり、つるを支えるためのロープ張りなどが行われた。

初めて参加した同市内の専門学校1年、宮崎風生(ふう)さん(19)は「朝顔プロジェクトを通じた人や地域のつながりを興味深く感じた。来年もやってみたい」と声を弾ませた。

日比野さんは、4年ぶりに一般参加者が加われたことに「久々に再会できた方もいたようで、改めてつながりを実感できたのではないか。今後、天災などで社会情勢が激変しても一喜一憂することなく、アサガオという自然を相手にプロジェクトを淡々と続けていきたい」と話した。

今回のプロジェクトは、同館南側に水戸市民会館が7月に開館することから、両館と近隣の京成百貨店との連携事業に位置付けられている。水戸芸術館のほか、水戸市民会館と京成百貨店でも苗植えなどが行われた。

© 株式会社茨城新聞社