<南風>沖縄の幸福度

 皆さんは幸福度ランキングというものをご存じだろうか。国際的な研究組織によると、例年、フィンランドやデンマークなどの北欧諸国が上位を占め、日本は40~50位前後にとどまっている。それでは、国内に目を向け都道府県での幸福度はと言うと、民間調査会社の調査結果によると、沖縄は2年連続1位である。

 デンマークに4カ月ほど留学した経験があり、転勤族の家庭で、福岡、北九州、熊本、鹿児島、新潟、大阪で生活し、現在は兵庫と沖縄を行き来する生活を送っている私なりの見解としては、やはり沖縄は幸せを感じやすいと言えるだろう。要因はいくつか挙げられるが、最も大きな要因として「余暇」が挙げられる。

 2020年から兵庫での単身赴任生活が始まり、最初に驚いたのが、とにかく余暇にお金がかかることである。沖縄の感覚で職場の同僚とBBQをしようと思うと、近場で火を起こせる場所はほとんどなく、高速料金片道2千円ぐらいかけキャンプ場に行き、日帰りだったとしても使用料3千~5千円ぐらいは払うことになる。沖縄でサーフィンをしようと思うと30分から1時間もあれば移動できるが、内地で同じことをやろうとすると、高速に乗り2~3時間かけ片道5千円以上は支払うことになる。とにかく、お金がかかる。所得的なゆとりがなければ遊ぶことも難しい。

 所得ランキングでは、沖縄は例年最下位ではあるが「余暇」に関しては、所得による「遊び方」の格差が県外に比べると少ないと感じる。県外ではお金がないと遊べないが、沖縄では、ちょいとビーチに行けば気軽にBBQができ、サーフィンや素潜り、キャンプなどを楽しむのに、お金はさほどかからない。

 県民の所得を上げる施策や貧困対策はもちろん大切だが、所得が上がれば幸福度も上がるとは限らない。

(神谷牧人、アソシア代表)

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