光石研と工藤遥が父と娘に 居心地の悪い親子の空気感伝わる会話シーン 「逃げきれた夢」本編映像

2023年6月9日より劇場公開される、光石研主演の映画「逃げきれた夢」から、親子役で共演した光石研と工藤遥が繰り広げる会話シーンの、本編映像が公開された。

映像は、周平(光石研)が娘の由真(工藤遥)に「付き合っとる人とかおらんの?」と声を掛けるも、「なんなん?今日、ほんと」と返事をする由真のセリフを皮切りに、どこか居心地の悪い親子の空気感が伝わってくるシーンとなっている。「おまえの彼氏に“娘さんを僕にください”ちゅ言われたら、父さんどうするっちゅ思う?」など、とっぴな質問を続けて娘とのコミュニケーションを試みる周平に対して、由真は真顔で父を見つめながら「気持ち悪すぎなんやけど」と冷たく言い放つ。親子の複雑な関係が浮かび上がるとともに、周平の人間臭いおかしさと切なさが映し出されている。

父親役の役作りについて光石は、「娘がいないので、20代の娘との接し方が分からない。たぶん、(娘が)いてもわからない。だから“わからない”という風にして演じていいのではないかと思っていました」と自然体で挑んだという。対する工藤は「私は普段、家族仲が良いので、由真を演じる時は自分の思い描く家族からひたすら引き算でした」と、役作りについて語っている。

「逃げきれた夢」は、人生のターニングポイントを迎えた中年男が新たな一歩を踏み出すまでを描いた作品。北九州で定時制高校の教頭を務める末永周平。ある日、元教え子の南が働く定食屋で、周平は支払いをせず無言で立ち去ってしまう。記憶が薄れていく症状によって、これまでのように生きられなくなってしまった末永。妻の彰子との仲は冷え切り、一人娘の由真は父親よりスマホ相手の方が楽しそう。旧友の石田との時間も、ちっとも大切にしていない。周平は、「これから」のために、「これまで」を見つめ直していく。

主演は、映画デビューから45年にわたり、日本の映画・ドラマ界で活躍してきた光石研。「あぜ道のダンディ」から12年ぶりの映画単独主演作となる。光石本人の人生のエッセンスを注入したという物語は、生まれ故郷で青春時代を過ごした福岡県北九州市のオールロケで撮影された。物語のカギを握る周平の元教え子・平賀南には、光石研と同じく北九州出身の吉本実憂が、オーディションで選ばれた。主人公の妻を坂井真紀、娘を工藤遥、旧友役を光石研本人とも気心の知れた松重豊が務める。

監督・脚本は、二ノ宮隆太郎。瀬々敬久監督が審査員を務めた2019年フィルメックス新人監督賞のグランプリ受賞作である脚本をもとに、二ノ宮監督自らがメガホンを取り、商業映画デビューを飾った。本年度のカンヌ国際映画祭ACID部門への正式出品を果たしている。

【作品情報】
逃げきれた夢
2023年6月9日(金)より新宿武蔵野館、シアター・イメージフォーラムほか全国ロードショー
配給:キノフィルムズ
©2022『逃げきれた夢』フィルムパートナーズ

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