「るみちゃん農園」来てね 3人子育て傍ら新規就農、35歳女性「畑で癒されて」

新規就農し、万願寺とうがらしなどを栽培している湯浅さん(南丹市日吉町木住)

 京都府南丹市日吉町木住の湯浅るみさん(35)は3人の子を育てながら30歳で農業を志し、2020年に「るみちゃん農園」を開いた。高齢化する地域で維持困難な農地などを借り、名産の黒枝豆や万願寺とうがらしを栽培。サツマイモ掘りの受け入れや、焼き芋の屋台出店も始めており「挑戦する楽しみを大事にしたい」と語る。

 園部町の農業と縁がない家庭で育ったが、幼い頃から「食への興味が強かった。メロンを育てたくなり、庭に植えたこともある」と笑う。須知高食品科学科で農業や食品加工を学んだ後はゴルフ場に勤めることになり、いったん食から離れた。

 14年ほど前に結婚後は夫の実家がある木住に移り、家の畑を手伝った。休日に農作業をするつもりが、天候に左右され思うようにいかず「中途半端ではなくちゃんとやりたい」ため、農業一本で暮らすことを決意した。

 子育てのかたわら18年から町内の農家で学び、20年6月に独立。「栽培が減る地元の野菜を大事にしたい」と万願寺とうがらしや黒枝豆を育て始めた。母としての思いから「街の子どもに自然を体験してほしい」と考え、収穫を体験できるサツマイモも植えた。

 1年目は順調だったが、21年は無農薬に挑んだ黒枝豆が虫害に遭った。22年は大雨で万願寺とうがらしが根腐れして全滅。それでも「苦労は付き物。試行錯誤するしかない」と前を向き、低農薬に切り替えたり、畝を高くしたりして克服した。

 現在1ヘクタールを管理し、夫や小中学生の2男1女も楽しみながら手伝っている。多忙ではあるが、勤めていた頃と比べると「子どもとゆっくり過ごせる点はいい。学校行事にも参加しやすい」という。

 秋はサツマイモ掘りに市内や亀岡市の幼稚園児が150人ほど訪れる人気ぶりで、過疎地ゆえ「子どもの声を聞けてうれしい」と喜んでくれる住民がいることもやりがいだ。

 「楽しいことは共有したい性格」で、近隣の若手農家との協力も進める。観光客向けにスプリングスひよしで黒枝豆の詰め放題をしたり、自家製の冷やし焼き芋を屋台で売ったりして「次は畑に来て癒やされてほしい」。

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