あざが体の60%にある6カ月男児、京都大学病院で培養表皮を移植

京都大学病院

 京都大医学部付属病院は25日、生まれつきの大きなあざ「先天性巨大色素性母斑」が体表の約60%にある生後6カ月のインドネシア人男児に、自家培養表皮を用いた皮膚再生手術を実施し成功したと発表した。世界有数の手術実績がある京大病院に男児の家族から依頼があったためで、手術を担当した森本尚樹教授(形成外科)は「これだけ広い範囲の手術に成功したのは初めて。治療法を海外にも発信していきたい」としている。

 同母斑は2万人に1人の割合で発症。放置した場合にはがん化するリスクがあり、1歳までの治療が重要という。同母斑が広範囲に及ぶケースでは残された健常な皮膚が少なく、通常の皮膚移植が難しいとされる。

 京大病院が実施する自家培養表皮手術は、患者自身のわずかな皮膚を採取して大きく培養するため広範囲の施術が可能。森本教授は同手術で100例以上の実績がある。

 手術は3月に2度実施した。森本教授らは男児の母斑細胞を専用器具でけずり、培養皮膚を移植。同母斑の約半分、体表の約28%相当を治療した。術後の男児はあざが薄くなり、元気に退院したという。

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