「高校完全無償化より教員増やトイレ洋式化優先」 滋賀県教育長、大阪と一線

会見する滋賀県教育委員会の福永教育長(県庁)

 滋賀県教育委員会の福永忠克教育長はこのほど、所得制限が設けられている高校授業料の無償化について、制限をなくす「完全無償化」よりも、教員の増員や老朽化するトイレの改修を優先する考えを示した。「高校は義務教育ではないので、無償化ではないのが基本」とし、「無償化してほしいという声は今のところ聞いていない」と述べた。

 公立高は、国の制度で世帯年収910万円未満は無償となっているが、大阪府は2024年度から順次、所得制限をなくし高校授業料の「完全無償化」を進める方針を打ち出している。

 同日の定例会見で福永教育長は、大阪府の方針について「子育て世帯をより一層支援していきたいという一つの施策」と受け止めつつ、県内でも年収910万円未満の世帯の授業料無償化はすでに実現しており、他にも進めるべき施策があるとの見解を示した。

 無償化に優先する教育課題として、多忙が常態化する教員の増員、不登校の子らを支援するスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの充実、整備完了が全体の約半数にとどまっている県立高トイレの老朽化・洋式化対策などを挙げた。特に教員の増員については「公費でしか絶対できない」と述べ、力を入れたい考えを示した。

 三日月大造県知事も16日の定例会見で、大阪府方針と同様の高校授業料完全無償化について「今の時点で実施することはない」と述べた。

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