『地獄楽』海外の反応「呪術廻戦らと並ぶダークトリオ」と絶賛。90年を想起する荒々しさにも高評価

2023年の春アニメとして放送を開始した『地獄楽』が、いま、海外のアニメファンを大興奮させています。その理由は一体どこにあるのでしょうか? 本稿では『地獄楽』に対する海外の反応をお伝えします。

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海外サイト「90年代の荒々しい作品を想起させる」

『地獄楽』は、2018年から2021年まで「少年ジャンプ+」にて連載された賀来ゆうじ原作による漫画を原作としています。その物語は、江戸時代末期を舞台に、最強の忍と謳われる「がらんの画眉丸」を主人公に展開されていきます。

死罪人となった画眉丸でしたが刑を執行されても死なない不死身ぶりを発揮し、死を望もうともこの世を去れない日々を過ごしていました。
そんなある日、画眉丸は打ち首執行人である山田浅エ門佐切に、本当は死を望んでいないことを見破られてしまいます。

自身の本心に気づかされた画眉丸は、佐切よりある提案を受けます。それは、極楽浄土と噂される「神仙郷」より不老不死の仙薬を持ち帰れば、無罪放免にするというもの。
こうして画眉丸と選び抜かれた死罪人たちは、一見すると美しい、災いが潜む島へ向かう命を懸けた旅に出ることになるのでした……。

海外で『地獄楽』は『Hell’s Paradise』のタイトルで視聴者に届けられており、第1話、第2話の放送を終えた時点で、多くの視聴者たちを熱狂させているようです。

映画やテレビドラマ、アニメまでエンターテイメント情報を幅広く網羅した世界的サイト「Digital Spy」のレビューにおいて『地獄楽』は、「『呪術廻戦』『チェンソーマン』と並ぶ少年漫画のダークトリオ」と紹介。「高い評価を得ているMAPPAの手により待望のアニメ化」という、冒頭から期待値MAXの見出しでレビューをスタートさせています。

先述の3作品に共通する点を「トーナメントと呼べるような場面が少なく、主人公が複雑な背景を持ち、残忍な暴力性が特徴的」としており、「これらの要素は1980年代後半から1990年代にかけて打ち出された荒々しい作品を想起させる」という興味深い考察が成されています。

続けて、第1話の印象に関して同レビュワーは「監督を務めた牧田佳織の手腕が完全に適合している。ひねり、アクション、そして不気味なユーモアにあふれており、何よりキャラクターをどのように強調させていくかということを示唆している」と綴ります。

さらに「最初の15分における画眉丸に対するキャラクター構築が非常に印象的だ。斬新な手段で画眉丸の物語の差異を伝えている」としています。

これは、佐切が画眉丸の本心を見抜き、本当に求めていることは何かを画眉丸に思い出させる場面で、画眉丸と妻の関係性が浮き彫りになっていく展開を指しているのだと思います。確かに、画眉丸が佐切に話した妻との関係と、実際の関係では大きく異なるものがあり、画眉丸は妻との自由を求めていたことがハッキリする見事なシーンでしたね。

同レビューは「華麗でユニークなビジュアルが印象深い。意図的にロウソクや暖炉のような柔らかい照明を印象づけることで、キャラクターの顔がフラットに感じられる。そういった点は同じくMAPPAがプロデュースする『呪術廻戦』や『チェンソーマン』のシャープなキャラクターデザイン、ネオンに照らされた街並みに感じるモダンな印象とは異なる点だ」と、MAPPAの幅広い作画技術を称える文言で幕を閉じています。

「作画がヤバイ!」「OMG」時代劇特有の文化には?

毎度のことながら、やはりMAPPA製作のアニメはその作画に驚かされるファンが多いようで、YouTubeにリアクション動画を投稿しているケニア人リアクターのマイケル・アンジェロさんも、文字通り開いた口が塞がらない状態で『地獄楽』を鑑賞している姿が印象的でした。

第1話冒頭からいきなり画眉丸の首が切れない点について「画眉丸の首は何で出来てるんだ!?死ねないの?無敵なの?」と疑問が渋滞しパニック状態に……そして「なんて導入なんだ!」と驚きを隠せないご様子。
燃え盛る炎の中から画眉丸が姿を現す場面では「これはスゴイ!この作画見ろよ!」と口をあんぐり。

それでもアンジェロさんは冷静になり「ナレーターが処刑法を教えてくれるのがいいね」と解説。
日本特有の処刑法などに驚愕しつつ、「浅エ門って普通は男なの?」という時代劇特有の文化や習慣には置いてけぼりにされてしまっている様子も印象的でした。(※ちなみに「山田浅エ門」というのは江戸時代に「御様御用」という刀剣の試し切りを務めていた山田家当主代々の屋号だそうです。)

物語が進むにつれて、ヒートアップしていくアンジェロさんはクライマックスで、画眉丸が忍法・火法師を発動させると、思わずのけ反るように大興奮!

「作画がヤバい!超カッコいい!」「暗転じゃなくて、明転で観たかったぜ!ゴードン・ラムゼイのように敵を調理するところが観たかった」と、“地獄の料理人”の愛称で知られるイギリスの有名シェフを引き合いに出し、興奮が収まらないご様子。そして最終的には「スゴイ初回だった」と大満足の表情を浮かべていました。

アンジェロさん以外のリアクターたちも、この「忍法・火法師」のシーンは大興奮だったようで、皆が皆一様に口をあんぐりさせて衝撃を受けていました。

MAPPA製作であることから、海外のファンたちもそのハイクオリティな作画に驚いているのが印象的であり、日本のアニメがここまで海外で高く評価されていることに大変誇らしい気持ちになりました。

マイケル・アンジェロさんを初めとしたリアクターたちは視聴中に何回も「OMG!」と発言しており、改めて衝撃的な内容だったのかなというのが伺える次第です。

これらの反応を見る限り、『地獄楽』は空前の大ヒットを記録する予感しかありません。
今後も海外勢の反応を注視していきましょう!

(執筆:zash)

アニメ『地獄楽』作品情報

【ストーリー】
時は江戸時代末期。
抜け忍として囚われ死罪人となった元・石隠れ最強の忍“画眉丸”は、
極楽浄土と噂される島から「不老不死の仙薬」を持ち帰れば無罪放免となれることを告げられる。
画眉丸は最愛の妻と再会するため、打ち首執行人“山田浅ェ門佐切”とともに
仙薬があるという島へ向かうことに。
島に上陸した画眉丸と佐切に立ち塞がったのは、同じく仙薬を求める死罪人たち。
そして、島に潜む未知の生物、人工的で不気味な石像、島を統べる仙人たち……
謎多き島で、果たして画眉丸は仙薬を見つけ出し、
生きて帰ることが出来るのか——!?

【キャスト】
画眉丸:小林千晃
山田浅ェ門佐切:花守ゆみり
亜左弔兵衛:木村良平
山田浅ェ門桐馬:小野賢章
杠:高橋李依
山田浅ェ門士遠:小林親弘
山田浅ェ門典坐:小林裕介
ヌルガイ:小市眞琴
民谷巌鉄斎:稲田徹
山田浅ェ門付知:市川蒼
山田浅ェ門仙汰:山下大輝

【スタッフ】
原作:賀来ゆうじ「地獄楽」(集英社 ジャンプ コミックス刊)
監督:牧田佳織
シリーズ構成:金田一明
キャラクターデザイン:久木晃嗣
音楽:出羽良彰
制作:MAPPA
企画:ツインエンジン
原作協力:少年ジャンプ+編集部

オープニング:「W●RK」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
millennium parade × 椎名林檎

©賀来ゆうじ/集英社・ツインエンジン・MAPPA

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