地域医療に貢献、山田医師を顕彰

地域医療貢献奨励賞を受賞した山田修さん=唐津市呼子町の山田整形外科クリニック

 一般財団法人「住友生命福祉文化財団」(大阪市)が、離島などで地域医療に多大な貢献をしている医師を顕彰する「地域医療貢献奨励賞」に、山田整形外科クリニック(唐津市呼子町)の山田修理事長(63)が選ばれた。佐賀県内からの受賞は初めて。

 山田さんは佐賀西高-自治医科大医学部卒。卒業後は佐賀県立病院好生館での研修を経て、20代後半で唐津市の離島・高島の初代診療所長を務めた。合併前には、呼子町小川島診療所長、北波多村立病院副院長も歴任した。

 転機は1997年、小川島診療所時代にお世話になった町役場職員から「呼子で整形外科を開業してほしい」との要請を受けた。漁業など1次産業が盛んな地域で、腰や膝、肩などの痛みを訴える患者や外傷が多く、「医療提供のニーズに応えたい」と同クリニックを開業した。

 離島での総合診療の経験を生かし、総合的な医療の提供を目指す「プライマリ・ケア」を実践してきた。2019年には高齢化する患者の移動能力の低下に危機感を持ち、施設内にデイケアセンターを開設。公共交通機関の減便・廃線に伴い、無料の送迎バスを複数ルート運行するなど患者の生活を支えるための環境づくりにも尽力している。

 また、09年から唐津整形外科医会の幹事として、1次、2次医療機関全ての整形外科医が参加する症例検討会を毎月開催。連携機能の構築や後進の育成にも力を入れ、院内外での活躍が評価された。

 山田さんは「佐賀市で生まれ育ったが、唐津のみなさんやスタッフに支えられてこれまでやってこられた。上場地区の開業医の高齢化が進んでいるが、頼ってくださっている限り、これからもここでまだまだ頑張っていきたい」と話した。

 同賞は自治医科大が後援し、07年度から実施している。各都道府県から推薦を受けた医師の中から、同大学長ら8人で構成する選考委員会で審査された。(松岡蒼大)

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