タンナー大手の山陽がLWGの環境認証取得 国内2社目、海外展開にらみ「姫路の皮革を発信」

工場内の設備について説明する戸田健一社長=姫路市東郷町

 タンナー(製革業者)業界大手の山陽(兵庫県姫路市東郷町)が、皮革の安全性や環境対策を監査する国際団体「レザー・ワーキング・グループ」(LWG、英国)の認証を取得した。現在、世界では有名ブランドの多くが同団体に加盟し、認証のあるタンナーから革の提供を受けているという。同社は認証の取得を機に海外展開を強化する予定で、「日本の皮革を世界へ発信したい」と意気込む。(三島大一郎)

 LWGは2005年に設立された国際団体で、ルイ・ヴィトンやアシックスなど世界的な有名ブランドやタンナー、薬剤メーカーが加盟。皮革工場の電気やガスなどのエネルギー使用量や排水処理の設備、仕入れ先の管理状況などを評価し、認証している。

 現在、世界のタンナー約1100社が認証を取得。団体に加盟する有名ブランドは、認証のあるタンナーからのみ素材の供給を受ける傾向にある。国内では、18年に繁栄皮革工業所(同県たつの市)が取得している。

 山陽は1911(明治44)年に設立された。総合タンナーとして、靴やかばんなどに使われる皮革を製造販売している。昨年には、革製品の自社ブランド「TAANNERR(タァンネリル)」も立ち上げた。

 国内の皮革市場が縮小傾向にある中、同社は海外市場の開拓を視野に入れており、タァンネリルの販路を拡大するためにもLWG認証の取得が不可欠だと判断。工場内の排水設備や生産管理システムを更新するなどし、3月に認証を取得した。

 同社の戸田健一社長は「(LWG認証の取得は)革の一大産地・姫路の皮革を世界中の人たちに知ってもらうきっかけになる。日本皮革を広くアピールし、業界の活性化にもつなげたい」と話した。

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