公立保育所のおむつ持ち帰り、全面解消あと一息 兵庫県の市町 国の通知受け、施設処分への転換着々

数年前から使用済みおむつを施設処分する公立保育所。子どもごとの分別作業がなくなり、保育士の負担も減ったという=明石市内

 使用済みのおむつを公立保育所で処分せず、保護者が持ち帰る施設が1カ所でもある兵庫県内の自治体は、今年4月時点で10市町となり、1年間で4市町減ったことが、民間の調査で分かった。10市町のうち、9市町が施設処分を検討しており、県内のほぼ全域で保育所処分が定着しつつあることを裏付けた格好だ。(津谷治英)

 子育て支援事業を手がける企業「BABY JOB」(大阪市)が2~3月、公立保育所がある全国1500弱の市区町村を対象に状況を調査。既に公表されている調査結果から県内分を抽出し、公立保育所がある33市町について、前年調査と比較するなどした。

 それによると、赤穂市や尼崎市など4市町が持ち帰りから保育所処分に変更。前年調査で「非公開」と回答して「不明、その他」に数えられ、今回「保育所処分」とした1自治体を加えて、保育所処分は5市町増加し、計22市町になった。

 一方、持ち帰る施設がある10市町のうち、9市町が保育所処分を検討。検討の予定がないとしたのは1自治体にとどまった。

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 長年にわたって全国的に継続する使用済みおむつの持ち帰りは、保護者らにとって大きな負担。においや衛生面も懸念になってきた。保護者の声を受けた厚生労働省は今年1月、保育所処分を推奨する通知を出しており、施設処理の追い風になったようだ。

 4月に保育所処分に切り替えた赤穂市の教育委員会こども育成課は、市内にごみ処分場があり、回収車も市直轄のため、特別に費用がかさまずに導入できたと説明する。赤穂保育所(同市)の矢野由香所長(58)は「きょうだいで通園していると持ち帰るおむつも倍になり、特に負担が大きい。施設処分になって保護者は歓迎していると思う」と話す。

 一方、3カ所の公立保育施設を運営する加東市は保育所処分への変更を検討中。同市教委こども教育課は「施設処分になると、おむつの管理場所が必要になる」と課題を挙げ、他市町の回収や作業の流れを調査中としている。

保護者の負担軽減、地域格差も浮き彫り 

調査を実施した「BABY JOB」の東ネネさんの話 厚労省の通知で保育施設での処分が進みつつあり、保護者の負担が軽減されているのは喜ばしい。半面、地域格差も浮き彫りになってきている。保育所処分に踏み切れない自治体は、使用済みおむつの保管場所と処理が課題のようだ。特にごみの回収に悩む声が聞かれた。今後も調査を継続し、行方を注視したい。

持ち帰り施設「最多割合」は宮崎60%、兵庫30%23位

 「BABY JOB」の調査で、持ち帰る施設がある自治体の割合が最も多かったのは宮崎県(60%)。数値は前年と同じだったものの、全国的に施設処分が加速したため、順位は10位からワーストになった。兵庫県は30%で23位。前年から12ポイント減少したが、順位はほぼ横ばいとなった。全国平均は28%(前年は39%)だった。

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