家族でつかんだ2週連続V 山下美夢有「私も頑張らないと」

最終18番はパーで締め、自身初の2週連続優勝を決めた(撮影/中野義昌)

◇国内女子◇リゾートトラスト レディス 最終日(28日)◇グランディ浜名湖GC(静岡)◇6500yd(パー72)◇曇り時々晴れ(観衆5104人)

2位と1打差の単独首位で迎えた最終日の朝。山下美夢有は、ドライビングレンジで父・勝臣さんからひとつのアドバイスを受けたという。「下半身リードを意識していたけど、上半身と下半身の回転が合っていなかった。『同時に回るイメージでスイングした方がいい』と言われた」。すぐに修正し、「タイミングが合って振れるようになった」と手応えを得て1番ティに向かった。

パーを並べる静かな出だしから、同組の佐久間朱莉が5番でバーディを奪い、首位タイに並ばれて迎えた6番。フェアウェイから156ydの2打目を6Iで放つと、山下のボールはグリーン奥にあるガードバンカーに入った。3打目はピンに寄せきれなかったが「ここはパーを獲っておきたいと思っていたので、しっかり決めきれたのは良かった」と5mのパーパットをねじ込んでピンチをしのいだ。

6番のパーパットを沈めて「スイッチが入った」(撮影/中野義昌)

「そこでスイッチが入って、次のホールに良い流れでいけた」。続く7番(パー3)でティショットをピン2mに絡めて、8番は1.5m、9番(パー5)では3m。3連続バーディで後続を一気に突き放した。

最終18番はパーで締めくくり、5バーディ、1ボギー「68」で通算21アンダー。2位に4打差をつける快勝だった。「初めてのコースだったけど、ショットも良くてアンダーパーで4日間回れたのですごくうれしかった」と喜んだ。

7番(パー3)のティショット。ここから3連続バーディで抜け出した(撮影/中野義昌)

自身初の2週連続優勝に貢献したのは、父からのアドバイスだけではない。26日(金)には、近大ゴルフ部の弟・勝将が「関西アマ」で連覇を達成した。

「(弟の連覇に)いい刺激をもらった。私もより頑張らないと」と発奮し、両親の見守る前で挙げたツアー9勝目。「お母さん(有貴さん)は面白くて、明るくて、元気。それで切り替えもできているし、プレーにも集中できている。癒やされているかな」と言葉を紡いだ。

「弟が頑張ってくれているので力になる。妹(蘭さん)もずっと会場に来てついて回ってくれている。でも、ゴルフ以外の時でも楽しく家族で過ごしているので、その切り替えをうまくやっている」。そう話す長女の表情は朗らかだ。ツアー史上初の2週連続4日間大会優勝。「21歳299日」での、史上最年少生涯獲得賞金4億円突破。記録がつきまとうのが日常となった勝負師には見えない、優しい笑顔を浮かべていた。(静岡県浜松市/内山孝志朗)

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