5月28日、2023年FIA F2第6戦のフィーチャーレース(決勝レース2)が、モナコのモンテカルロ市街地コースで開催され、メルセデス育成のフレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング)がポール・トゥ・ウインで今季2勝目を飾りランキングトップに浮上した。9番グリッドからスタートしたレッドブル&ホンダ育成の岩佐歩夢(ダムス)は10位でチェッカーを受けた。
第6戦決勝レース2のグリッドは、26日に2グループに分かれて行われた予選結果順となり、ランキング3位につけるフレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)が予選Bグループで最速タイムをマークし、ポールポジションを獲得。予選Aグループでトップタイムだったビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)がフロントロウ外側の2番グリッドに続いた。
2列目内側3番グリッドにランキング2位につけるテオ・プルシェール(ARTグランプリ/ザウバー育成)、4番グリッドにジャック・ドゥーハン(インビクタ・ビルトゥジ・レーシング/アルピーヌ育成)が続き、前日のスプリントレース(決勝レース1)で勝利を飾り、ドライバーズランキングトップに再浮上した岩佐は5列目内側の9番グリッドからのスタートとなった。
今大会、硬めのプライムタイヤはソフト(レッド)、柔らかめのオプションタイヤはスーパーソフト(パープル)となるなか、ベスティ、マルタンスを含む上位6台はスタートタイヤにプライムタイヤを装着。一方、岩佐はオプションタイヤを装着して最初のスティントに臨むことを選択した。
直前の計測で気温23度、路面温度29度と、前日のレース1からは路気温ともに低めのコンディションとなるなか、タイヤ交換義務を有する周回数42周(もしくは60分+1周)の決勝レース2は、当初の予定から5分遅れとなる現地時間9時45分(日本時間16時45分)にフォーメーションラップを迎えた。
スタートではポールスタートのベスティがホールショットを守り、上位勢の順位は変わらず。一方、岩佐はスタートで大きく出遅れたユアン・ダルバラ(MPモータースポーツ)をターン1でかわし8番手に浮上する。
DRSが使用できない序盤にリードを築きたいベスティだったが、マルタンスも同じプライムタイヤ勢ということもあり、なかなか引き離すことができない。3周目よりマルタンスはDRSを使用するも、狭く抜きどころの少ないモナコだけに、オーバーテイクには至らず周回を重ねることに。
岩佐は同じくレッドブル育成かつ、オプションタイヤを履くジャック・クロフォード(ハイテック・パルスエイト)とアイザック・ハジャル(ハイテック・パルスエイト)に挟まれて周回を重ねる。しかし、ペースはプライム勢の方が速いという状況。それを証明するかのようにベスティが毎周のようにファステストを更新する。
8周目にオプションタイヤスタートのクレモン・ノバラック(トライデント)、ラルフ・ボシュング(カンポス・レーシング)が真っ先にピットインを敢行。この動きに呼応して7番手のクロフォードが12周目に、岩佐とハジャルが13周目にピットイン。なお、この時点でトップのベスティと岩佐のギャップは23.9秒となる。
岩佐はクロフォードの背後、ハジャルの前と、前後関係変わらずコース復帰を果たし、コンディションにあったプライムタイヤでの追い上げにかける。ただ16周目に16番手スタートからオプションスタートでオーバーカットを狙ったオリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)がピットアウトし、岩佐の眼前でコース復帰。しかし、岩佐はタイヤの冷えたままのベアマンに対し、ターン5(ミラボー)で見応えのあるオーバーテイクを決める。
レースは折り返しも近づく19周目を迎えるも、ベスティ、マルタンス、プルシェール、ドゥーハン、ゼイン・マロニー(ロダン・カーリン)、リチャード・フェルシュフォー(ファン・アメルスフォールト・レーシング)のトップ6は変わらず。ただ、ベスティはマルタンスとのギャップを5秒にまで広げた。
そんななか、レッドブル育成のエンツォ・フィッティパルディ(ロダン・カーリン)のマシンがエンジントラブルか、トンネルのなかで白煙を上げヌーベル・シケイン先のエスケープにマシンを止めた。これで20周目よりバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入される。
VSCは21周目に再開された。しかし、翌22周目に4番手走行のドゥーハンがターン3でクラッシュ。その直後をマロニーが走行していたが、間一髪衝突は免れた。これでセーフティカー(SC)導入となり、ベスティ、マルタンス、プルシェール、マロニー、フェルシュフォーらが続々とピットイン。
ドゥーハンのマシンはリヤからウォールにヒットしリヤセクションから炎が上がるも、オフィシャルの消化器により無事消化された。ただ、高速ターン3の路面はデブリが散乱するほか、ガードレールの交換、消火剤の清掃も必要となり、ここでレースは赤旗中断となる。なお、ドゥーハンは21周目のターン12立ち上がりでフロントウイングにダメージを負っており、それがこのクラッシュの要因となったことも考えられる。
赤旗時点でのトップ10はベスティ、マルタンス、プルシェール、マロニー、フェルシュフォー、ハウガー、クッシュ・マイニ(カンポス・レーシング)、ロマン・スタネ(トライデント)、クロフォード、岩佐。オプションスタート勢のクロフォードと岩佐はこの赤旗の影響をダイレクトに受ける結果となり、マイニ、スタネに先行を許すことに。
レースは現地時間10時45分(日本時間17時45分)にSC先導のローリングスタートで再開された。27周目にグリーンフラッグが振られるが、ローリングスタートということもあり、ここでは順位変わらず。また、クロフォード以下後続はSCの入った場所の影響もあり、リスタート時に8番手スタネと9番手クロフォードの間に36秒のギャップが開いたままレース再開となり、後続集団は上位浮上のチャンスがなくなることに。
そんななか、29周目に2番手につけるマルタンスに対しドライブスルーペナルティが下される。ドゥーハンのマシンの消化中のダブルイエローの際に十分い減速しなかったためだ。マルタンスはこれで8番手に後退。一方、チームメイトのプルシェールが2位に浮上し、ドライバーズランキングを2点差で争うふたりがコース上で直接対決を繰り広げることに。
プルシェールは徐々にベスティとのギャップを縮めにかかる。そんななかレースは34周目に差し掛かったところで残り7分のタイムレースとなることが明らかにされた。残り時間わずかというなか、ベスティとプルシェールの攻防戦は続く。また、10番手の岩佐の背後にはベアマンが接近。1ポイントをかけた戦いを繰り広げる。
周回数にして39周目、ベスティがポール・トゥ・ウインでトップチェッカーを受け、今季2勝目を飾りのランキングトップに浮上した。2位にプルシェール、3位にマロニーが続いた。岩佐はポジションを守りきり10位でチェッカー。1ポイント獲得も、ドライバーズランキングでは89ポイント獲得のベスティ、84ポイント獲得のプルシェールにかわされ、岩佐は69ポイント獲得のランキング3位に後退している。
2023年のFIA F2、次戦となる第7戦バルセロナは、6月2日〜4日に、スペインのカタロニア・サーキットで開催される。
■2023年FIA F2第6戦モンテカルロ
レース2暫定結果
Pos. No. Driver Team Time/Gap
1 7 F.ベスティ プレマ・レーシング 1h20’02.426
2 5 T.プルシェール ARTグランプリ 2.504
3 3 Z.マロニー ロダン・カーリン 15.553
4 22 R.フェルシュフォー ファン・アメルスフォールト・レーシング 21.623
5 1 D.ハウガー MPモータースポーツ 22.364
6 24 K.マイニ カンポス・レーシング 25.317
7 20 R.スタネ トライデント 27.368
8 6 V.マルタンス ARTグランプリ 27.653
9 9 J.クロフォード ハイテック・パルスエイト 42.084
10 11 岩佐歩夢 ダムス 44.372
11 8 O.ベアマン プレマ・レーシング 45.253
12 10 I.ハジャル ハイテック・パルスエイト 46.049
13 2 J.ダルバラ MPモータースポーツ 54.559
14 23 J.コレア ファン・アメルスフォールト・レーシング 57.642
15 16 R.ニッサニー PHMレーシング・バイ・チャロウズ 1’12.052
16 17 B.ベナビデス PHMレーシング・バイ・チャロウズ 1’12.410
17 21 C.ノバラック トライデント 1’12.842
– 25 R.ボシュング カンポス・レーシング DNF
– 14 J.ドゥーハン インビクタ・ビルトゥジ・レーシング DNF
– 15 A.コルデール インビクタ・ビルトゥジ・レーシング DNF
– 4 E.フィッティパルディ ロダン・カーリン DNF
– 12 A.ルクレール ダムス DNF
・ファステストラップ:ビクトール・マルタンス(ARTグランプリ)(32/39) 1分21秒724 146.997km/h
・ペナルティ
CarNo.21 クレモン・ノバラック:5秒加算ペナルティ(ショートカットでアドバンテージを得た)