ランドセル軽量化の背景・・・重すぎる荷物で子どもたちの体に異変

来年新入学を迎える子ども向けのランドセル商戦、いわゆる「ラン活」が活発となるなか、今年のトレンドとして軽量化をうたった布製ランドセルが多くのメーカーから販売されています。こうした背景には、子どもたちを取り巻く深刻な環境があるようです。

足立区にある接骨院では近年、激しい運動をしているわけではない子どもの患者が増えているといいます。その訴える症状が足腰の痛みです。

院長:「ランドセルが今の子どもたちは中身が多くなっていて、腰の疲労骨折が多くなったり、かかとにさらに負担がかかってシーバー病(かかとの炎症)になる子が増えている」

区内の小学校に通う「たいくん」は、3年生だった去年の秋に腰とかかとの痛みを訴え通院を始めました。たいくんが普段使っているランドセルを見せてもらうと…タブレットや計算ドリルに教科書など、パンパンにモノが詰まっています。ランドセルの重さを計ってみるとなんと7.3キロ。

お母さん:「かわいそうですね。うちは学校まで近い方なのでまだいいですけど、遠い子はこれから夏だとちょっと心配になりますね」

院長によりますと、重すぎるランドセルは背負う際にバランスを取ろうと猫背になり、あごを突き出してしまうことで、骨盤が後ろに傾いてしまう子どもが増えているということです。そしてこの状態が続くと、腰やかかとに負荷がかかり、骨折につながるといいます。そのため、たいくんは骨盤の傾きを戻すため、10秒ほどのストレッチを1日6回、2週間続けたことで症状が改善したということです。

児童へ大きな負担がかかる重すぎるランドセル。こうした状況を区も放置しているわけではありません。

足立区の教育委員会は、新入学を迎える保護者に向け、通学時のカバンはランドセルに限らないことを伝えるチラシを配布しています。区の担当者は、その日の荷物の量や成長にあわせて、保護者や児童が自由に通学カバンを選択してほしいと話します。

さらに。
担当者:「もし使わないものがあれば、ロッカーの中に置きっぱなしで帰ってもいいよというのは、数年前からアナウンスしているんです」

足立区では、通学時の荷物を軽くするために家庭で使わない教材を学校に置いておく、いわゆる「置き勉」を各学校に推奨しています。子どもの負担が減り、笑顔で学校に通えるよう、こうした取り組みのさらなる広がりが期待されています。

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