県立こども医療センター(横浜市南区)で入院中の子どもに寄り添い治療を支えるファシリティドッグの「アニー」と、同センターを退院した子どもたちが28日、再会した。つらい時、そばで励ましてくれた友達と同じ時間を過ごし、子どもたちの笑顔があふれた。
闘病の不安や痛みを癒やすアニーだが、ファシリティドッグは病棟勤務のため、退院後には会える機会がなかなかないという。「アニーにまた会いたい」。そんな声に後押しされ、アニーを派遣するNPO法人「シャイン・オン・キッズ」(東京都)が同センターで運動会を企画した。
同センターを退院した4歳~高校生と家族ら約60人が参加。「かわいい」「また会えてうれしい」。アニーを囲む輪がたちまちでき、子どもたちは体をなでたり話しかけたりして触れ合った。各種目にはアニーも参加。玉入れで口にくわえたボールをカゴに入れ、パン食い競走で食パンをたいらげながらもゴールすると、会場は拍手と歓声に包まれた。アニーにまつわるクイズもあり、約2時間、盛り上がった。
アニーはゴールデンレトリバーのメスで7歳。専門的な訓練を受け、医療チームの一員として病院に常勤するファシリティドッグだ。健康管理や感染対策も講じられ、注射や検査、手術室の付き添い、病室での触れ合いなど、ニーズに合わせて幅広く活動する。
同センターでは2012年に国内で初めてのファシリティドッグ「ベイリー」が着任し18年に引退した。後任で17年から勤務するアニーは国内3頭目で、年間延べ約2千人の子どもの治療を支える。センターの石川浩史副院長は「子どもたちが安心し、つらい治療にも向き合えるようになる」と感謝する。