コースを出たら「ちゃんと関西人」 平田憲聖とゴルフのなれ初め

大学同期の桑島キャディと(撮影/和田慎太郎)

◇国内男子◇~全英への道~ミズノオープン 最終日(27日)◇JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部(岡山)◇7461yd(パー72)◇曇り(観衆2275人)

プレーオフ3ホール目で1mのウィニングパットを決めると、平田憲聖は今週初めてこぶしを握った。「あのガッツポーズ、試合じゃあんまり見たことなかったです」と桑島大紀キャディは笑った。

今週タッグを組んだ2人は、大阪学院大ゴルフ部の同級生。プレー中は喜びも悔しさも表現しない平田のスタイルは、学生時代から変わらないという。「ゴルフになると表情に出さないけど、普段はしゃべるキャラだし、ちゃんと関西人やってます」と桑島キャディ。ツアー2年目で初優勝をつかんだ大阪府出身の22歳。ポーカーフェースの裏には、プロらしい負けん気と押しの強さを隠し持っている。

平田が小学2年でゴルフに出会ったのも、そんな性格がきっかけだった。ゴルフ好きの祖父・富夫さんから、孫にもゴルフをやらせてみようと声がかかった。3歳上の姉だけに。「女の子の孫の方がかわいいから(笑)、姉を練習場に連れて行こうとして。俺も行きたいって言ったら『お前はいい』って言われました」。それでも「いやいや俺も!」とついて行ったら、ゴルフにすっかり魅了されたのは姉より平田の方だった。

プレーは冷静に、コースを降りたら“ちゃんと”関西人(撮影/和田慎太郎)

「やればやるほど成長を感じる」とのめり込み、大阪学院大付属高2年で「関西アマ」優勝。大学3年の2021年には「日本学生」を制したことで、ツアーに出るための予選会・サードQTへの出場資格を得た。サードを突破してファイナルQTで上位に入れば、トーナメントに出場できる。ただ、大阪学院で在学中にプロ転向した前例はなかった。

「QTの権利はその年しか使えない。チャンスだと思った」と学校側に掛け合うと、実力と熱意をくんで在籍しながらのプロ転向を認めてもらえた。ファイナルQTを2位で突破し、大学4年で迎えた22年シーズンは20試合に出場して賞金ランキング58位でシード獲得。今季5戦目での初優勝は「無理を言ってお願いしたので、本当に良かった」と母校への一番の恩返しになった。

80歳を迎えた祖父は今もゴルフ好きで「オフになったら一緒にゴルフに行ったりしています。 “頑張れ”って、毎週応援してくれる」と、ちょっと得意げに話した。(岡山県笠岡市/谷口愛純)

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