カモミールの花、ロボットが手摘みします 直径2センチ、収穫時期を自動で判別 兵庫・姫路市などが開発中

カモミール畑でロボットの動作を確認する県立大大学院の荒木望准教授(右)と森本雅和准教授(右から2人目)ら=姫路市夢前町山之内

 兵庫県姫路市夢前町で栽培が盛んなハーブの一種カモミールの花を自動で収穫するロボットの開発に、姫路市と県立大大学院工学研究科(同市書写)が共同で挑んでいる。小型カメラの映像から収穫に適した花を自動で判別し、アームで摘み取る仕組みを目指す。2023年度中に開発を終え、市が今後の活用策を検討する。(田中宏樹)

 カモミールは同町山之内地区を中心に栽培され、花の部分を刈り取って「香寺ハーブ・ガーデン」(姫路市香寺町)が化粧水やせっけんなどに加工する。

 市は先端技術で花の手摘みを再現しようと、ロボットの製作を企画。同研究科に協力を求め、21年度から機械工学が専門の荒木望准教授(46)と画像認識に詳しい森本雅和准教授(51)とともに開発に取り組む。市は23年度までの3年間で約3300万円を負担する。

 荒木准教授は主にロボットの動作を研究。畑を自動で走行し、直径2センチほどの花の黄色に反応するとアームで摘み取る機械を作り、実証実験を重ねる。現状では花を認識する精度に課題があり、黄色の花を咲かせる別の種や色の似た土をカメラが映すと誤って反応する可能性があるという。

 課題の解決に向け、森本准教授はカモミールの花の膨らみや色の濃淡を基に、適切な収穫時期を見極めるシステムを研究。日光の強さに正確性が左右されるなど開発は道半ばだが、2人は「互いが実験で得た知見を生かし、より精度の高いロボットを完成させたい」と力を込める。

 市農政総務課の柿本英夫課長(57)は「ロボットが人と一緒に収穫する風景を観光資源として生かしたり、農業分野のデジタル化のPRにつなげたりと、さまざまな活用法を探りたい」と話した。

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