電気ポット、野菜細切りが寝たきりの原因に…認知症招くNG習慣14

些細な習慣が寝たきりに…(写真:PIXTA)

「立ったり歩いたりの日常生活で消費される『非運動性熱産生』は1日の消費エネルギーの約4割。ホルモンバランスが変化する50代から、あえてまめに動き非運動性熱産生をあげる必要があります」

そう話すのは、お茶ノ水健康長寿クリニックの院長・白澤卓二先生。健康寿命を延ばすためには運動が重要。また、筋肉量を維持することは認知症の予防にもつながるよう。

中高年の筋力運動、健康政策などを研究する筑波大学大学院教授の久野譜也先生が語る。

「筋肉は何歳になっても鍛えれば若返ります。逆に動かさなければすぐに衰え、筋力低下によって寝たきりや、糖尿病や心臓病、脳卒中を招きます。昨今では、体を動かすことで血流がよくなるだけでなく、筋肉の刺激により脳が活性化して認知症を予防するともいわれています」

だが、日常生活で運動量を減らしてしまうNG習慣があるという。そこで、ついつい気づかずにやっているNG習慣を白澤先生と久野先生に教えてもらった。

【1】車を店舗の入口の近くにとめる

ショッピングモールやスーパーの駐車場では、入口に近いところに車をとめたほうが便利だが……。

「どんな細かいことでも、体を動かすことが大事。入口まで遠いほどラッキーと思いながら、背筋を伸ばしながら歩く習慣をつけましょう」(白澤先生)

【2】いつでもエスカレーターを使う

エスカレーターを当たり前に使っている人は、健康を引きよせるチャンスを逃しているようだ。

「外出時には階段を使うようにするだけでも、ウオーキングやランニングとほぼ同様の効果が得られます。足を大きく持ち上げてゆっくり一段一段のぼっていくようにすれば太ももの大きな筋肉が鍛えられます。大きな筋肉を動かしたほうが、脳への刺激が高まるとも考えられています」(久野先生)

【3】平坦な道ばかり歩く

「ウオーキングや散歩では坂道や階段など高低差をつけたコースにしましょう。神社にある石段のような不規則性の段差は筋力アップが期待できます」(白澤先生)

【4】コンビニには車で行く

どんなに近くても、車を使ってコンビニに行っている人は多い。

「最近の研究では、1日30分歩くのと朝昼晩で3回に分けて10分ずつ歩くのはともに効果があることが明らかに。短時間歩くこともチリも積もれば山となる、という発想で1日、1週間単位で帳尻合わせも可能です」(久野先生)

【5】ランチはいつも近くの店

いつも近所の店でのランチもいいが、ときにはちょっと遠いけど歩いていける店をチョイスしよう。

【6】用事のときは人に来てもらう

所用があれば、相手に来てもらうのではなく、自分から出向くという姿勢が心身の老化を防ぐカギ。

【7】電車やバスではすぐに座る

「揺れる車内であえて座らないことで腹部と下半身をつないでいるインナーマッスル(深部筋)の大腰筋が鍛えられます。大腰筋が衰えると正しい姿勢が維持できなくなり、足を持ち上げる力も低下。つまずきやすくなったり転びやすくなったりします」(白澤先生)

【8】和式トイレを避ける

ひざや腰に問題がないなら洋式ではなく和式トイレを使う選択も。しゃがむ動作は、下半身の筋肉が衰えやすい中高年にオススメだ。

■何かに頼るより、自分で頑張ろう

これら外でできる8項目以外に、自宅でもちょっとした選択によって、大きな差が出る。

【9】ティッシュやリモコンを手が届く場所に置く

手を伸ばせばなんでもできる生活はたしかに楽だが……。

「座っている時間が長いほど肥満、糖尿病、認知症などが増加します。ティッシュやリモコンを取るために立つという動作を繰り返しましょう」(久野先生)

【10】郵便受けは1日1回しか見ない

自宅にいても、テレビの前でジッとしていないこと。郵便受けを見に行く、草木に水やりをするなど何か用事を見つけて、こまめに立ち上がる癖をつけたい。

【11】電気ポットを使う

家電製品は暮らしを楽にするが体を動かさなくなるデメリットも。電気ポットでいつもお湯が使えるのは便利だが、やかんで必要な分だけお湯を沸かせば、そのつど立ち上がることになる。

【12】床は掃除機だけで済ます

「家電に頼らない家事には下半身の筋肉を鍛える動作が多い。たとえば電気掃除機を使わないで、床を雑巾がけは足腰強化になります。とはいえ、無理して筋肉を鍛えても続きません。雨の日や今日は動いていないなと感じたときに、家電に頼らずに体を動かせばいいでしょう」(久野先生)

【13】食材を細かく切る

たとえばみそ汁や、ほかの料理でも野菜などの具材を細かく切ったほうが火の入りもいいが、大ぶりに切ることでかむ回数が増える効果も。

「そしゃく回数を増やすことで美容効果や肥満防止だけでなく、最近ではかむことで脳の前頭前野や海馬が活性化され認知機能を保つ働きがあることも明らかになっています」(白澤先生)

【14】なんでもスマホで調べる

なんでも調べられるスマホは便利だが、すぐに答えが出てくることで記憶力低下が危惧されている。

「スマホに頼りすぎることで情報処理や計算をつかさどる前頭葉が衰えている人もいます。スマホや人に頼らずに自分で工夫してみるという意識が、脳機能を維持します」(白澤先生)

また、操作方法などをすぐに家族に聞いてしまう人も。自力で解決する癖をつけることが大事だ。

体と頭を動かす習慣で老後の不安を消し去ろう!

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