【ミャンマー】「助成金ではない」、日本アセアンセンター[観光]

日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の貿易や投資、観光分野の事業促進を担う「日本アセアンセンター」(東京都港区)の広報担当者は29日、NNAの取材に対し、ミャンマー軍事政権に対して「助成金は提供していない」と指摘した。人権団体は先週末、同センターが助成金を通じて国軍を支援したと非難していた。

広報担当者は、同センターに加盟するASEAN各国が自ら拠出する金額の8割を自国の促進活動のために自らの裁量で活用できると説明。人権団体が「軍政への助成金」だと主張する事業は、同枠組みを利用したものだという。財務に関する外部監査で問題点を指摘されたことはないとも訴えた。

人権団体「ジャスティス・フォー・ミャンマー(JFM)」は26日、日本アセアンセンターがミャンマー国軍の統制下にある複数の省が実施する施策に対して資金を提供し、国軍を支援したと非難。同センターが、国軍が指名した閣僚が参加した観光促進イベントや研修セミナーなどをサポートしていると主張していた。

JFM広報担当のヤダナマウン氏は声明で、日本アセアンセンターの活動について、「国軍が今もなお行っている戦争犯罪と人道に対する罪を助長している」と批判した。一方、日本アセアンセンターの広報担当者はNNAに対し、「政治的中立な立場をとって活動している」と理解を求めた。

ミャンマーでは2年以上前に軍事クーデターが勃発し、以降は国軍と民主派との武力衝突・政情不安が続いている。JFMは、軍政下で開かれたイベントに日本アセアンセンターが関わっていることを問題視。同センターがミャンマー観光を宣伝する日本語ウェブサイトを開設しているとして、「日本国民にミャンマーが安全で倫理的な観光旅行の目的地であると誤解を与えている」(ヤダナマウン氏)とも訴えた。

同センターの広報担当者は「指摘を受けているのは(今年の)日本ASEAN友好協力50周年を記念した観光プロモーションであり、ミャンマーを取り立てて強調するものではない」と弁明。観光に幅広い経済効果があり、地域の人々の生活向上につながるとも主張した。

日本アセアンセンターの理事会は各加盟国政府が任命した11人の理事で構成され、ミャンマーの理事はアウンサンスーチー政権下の20年から駐日ミャンマー大使を務めるソーハン氏が担っている。

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