子どもたちを死に導く“消耗症”、食糧危機の裏で深刻な病が蔓延…日本にできることは?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。5月8日(月)放送「New global」のコーナーでは、深刻化する世界の食糧危機のなか、子どもたちを苦しめる“消耗症”について取り上げました。

◆世界で2億5,800万もの人が飢餓状態に

先日、国連WFP(国連世界食糧計画)が食糧危機に関するグローバル報告書を発表しました。特に飢餓状態が集中しているのはアフリカ・南部地域で、総じて58の国と地域、約2億5,800万人が深刻な状況に。これは前年比6,500万人増、コロナ禍前に比べると約1億人増えています。

キャスターの堀潤は「世界の飢餓人口は今、急増の真っ只中。スーダンのこと(紛争)もあり、来年の見込みはさらに悪くなる。今、食い止めなくてはならない」と警鐘を鳴らします。

飢餓を生む最大の理由は、戦争や紛争。そして、コロナによる経済不安や気候変動などがありますが、人々が飢餓状態に陥ると何が起きるかといえば「例えば、武装した勢力が入ってきて、次の戦争や紛争につながる」と堀。「アフリカが壊れると、世界の安全保障環境が壊れていく。だから支援が必要」と声を大にします。

現在、アフリカで深刻な飢餓状態にあるのは、コンゴ民主共和国やエチオピア、ナイジェリア。中東では、アフガニスタンやイエメン、アジアでもミャンマーが該当します。

NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、紛争などで引き起こされるいわゆる食料不安に対しては、寄付など短期的な支援が必要ではあるものの、実はもっと根本的な対策が必要と主張。

大空さんは「危機にある多くの人は、農業に携わっていると言われている。結局、その農業を使った自立支援をしていかない限り(飢餓にある)人数は増えていくだけ。お金を使って短期的に食料を供給すればいいとなりがちだが、そうではなく中長期的な問題であり、農業支援に関する自立支援はまだまだ資金不足に陥っている」とし、「『ShareTheMeal』を広めていかないと」と国連WFPが運営している寄付アプリの普及を提案します。

◆飢餓に喘ぐ子どもたちを襲う"消耗症”とは?

そうした地域で今、問題視されているのが"消耗症”です。これは、急性あるいは重度の栄養不足により死の危険に直面している状態で、子どもたちは免疫を獲得できずにウイルスや細菌などに立ち向かわなければならず、栄養失調だけでなく痢やマラリア、はしかといった病気の危険が絶えません。

世界的には、5歳未満の子ども4,540万人以上(※ユニセフ調べ)が消耗症に苦しんでいると見られており、重度の消耗症になると一般的な子どもに比べ、その死亡率は11倍に。昨今、アフリカでも経済発展が進み、乳幼児の死亡率が下がってきていましたが、紛争などの問題により、この消耗症が大きな問題となっています。

タレントのREINAさんは、この状況を「見ているだけでつらい」と嘆き、「ここにもコロナの影響があるとは」と驚きます。そして、「日本ができることとしては資金調達だと思うが、これをいかにサステナブルにできるか、長期的な資金調達活動の仕組み作りは日本のような国が問われていることだと思う」と見解を示します。

堀は昨年末、国連WFPのメンゲスタブ・ハイレ南部アフリカ地域局長へのインタビューを敢行。その際、局長は紛争に関して「何百万人もの人々が政情不安で避難を余儀なくされています。避難をしているので、食料を生産できません。つまり悪循環に陥ってしまう。安全がなければ食料安全保障はなく、食料安全保障がなければ安全もない」と言及。

また、日本の視聴者に対しては「ぜひ南部アフリカ地域に訪れてみてほしい。特に若い人に」と切望。「そして、私たちがするように川を見たり、現地の人に会ったりしてほしい。後悔はしないでしょう。そして、ともに世界に変化をもたらし、この世界をみんなにとってより良い場所にしていきましょう」と話していました。

堀は、昨今、日本の若い世代がNPOやNGO、さらに個人で人道支援を行い、アフリカに入って事業を起こす人が増えていることを喜び、「こうしたネクストジェネレーションをサポートするのも我々の役割」と話します。

経済アナリストの池田健三郎さんは「局長が指摘されていた通り、本当の身体の安全がなければ次にいけない。そこをどう確保するかは非常に重要」と指摘。そして、経済的に自立できる仕組み作りの必要性を挙げ、「彼らが稼げる持続可能なサイクルを作っていく工夫がこれまで以上に求められていると思う」と今後の展望を述べます。

キャスターの豊崎由里絵は「赤ちゃんは生まれて最初に免疫を獲得するのはお母さんの母乳からと言われるが、(この状況では)きっとその母乳も出るのかどうかという感じ。本当に胸が張り裂ける思い」と悲痛な思いを語ります。

最後に堀は「途方に暮れそうな状況のなか、支援活動が続いている。私たち日本が世界に貢献できる分野がまだまだある。ぜひみなさん関心を持って、見続けてほしい」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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