日本絵本賞にザ・キャビンカンパニーの「がっこうにまにあわない」【大分県】

日本絵本賞を受賞したザ・キャビンカンパニーの阿部健太朗さん(左)と吉岡紗希さん=由布市挾間町のアトリエ前
絵本「がっこうにまにあわない」

 大分市在住の絵本作家、ザ・キャビンカンパニーの作品「がっこうにまにあわない」が第28回日本絵本賞を受賞した。大賞に次ぐ3点の中に選ばれた。夫婦で活動する阿部健太朗さん(34)と吉岡紗希さん(34)は「国内の大きな賞の一つ。歴代の受賞者には絵本を描くきっかけになった作家が多く、とてもうれしい」と喜んでいる。

 日本絵本賞は絵本芸術の普及のため、全国学校図書館協議会が1995年から毎年、実施している。今回は2022年に刊行された作品から1019点を選定。さらに30点に絞り、作家、画家、絵本研究者らが、大賞を含む受賞作4点を決めた。

 本作は、寝坊した小学1年の男の子が、遅刻しないよう13分で学校を目指す物語。1分ごとに出来事が起こり、ページをめくるたびに主人公の焦りが伝わってくる。

 道ばたに咲くヒメジョオン、水を張った田んぼ、遠くの雲などで季節感を出し、橋脚に張られたポスターや町の掲示板に文豪を忍ばせ、オマージュを示すなどして隅々までこだわった。

 同作は今年3月、第4回親子で読んでほしい絵本大賞にも輝いている。

 2人はこれまで絵本を30冊以上出版し、全国的な人気を得ている。吉岡さんは「これからも先人たちのいい所を取り入れながら、私たちにしかできない作品を作り続けていきたい」と話している。

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