竹田市の玉来ダム建設事業、土木学会の「技術賞」に 県内での受賞は初めて【大分県】

豪雨の時にしか水をためない流水型の玉来ダム。2022年度の土木学会技術賞を獲得した=3月、竹田市、県提供

 【竹田】2022年11月に完成した竹田市の玉来ダム建設事業が、土木技術の発展に顕著な貢献があったとして、土木学会(東京)の「技術賞」に選ばれた。阿蘇山が噴火した際の火砕流が堆積した特殊な地質条件の中で、調査・設計・施工技術を結集して完成させたことを高く評価した。県内での受賞は初めて。

 ダムは洪水時以外は水をためない流水型。竹田市で度重なる豪雨被害が発生したことを受けて1991年に事業化され、本体工事は2017年に着手した。事業費は約310億円。

 ダム堤体(高さ52メートル、幅145メートル)の設置場所には部分的に軟らかい地層があったため、両岸に高さ約50メートルの大型コンクリート壁を設けて堤体の安定性を確保した。「造成アバットメント工法」と呼ばれ、規模は国内最大級という。

 ダムの周囲は水を通しやすい岩盤層。約800メートルにわたってカーテン状にコンクリートを注入し、水漏れをふさいだ。事業主体は県、大成・菅・友岡特定建設工事共同企業体、建設技術研究所九州支社の3事業者。研究機関などとの協議を重ねて工事を進めた。

 技術賞は土木技術や社会の発展に顕著な貢献があった画期的なプロジェクトに与えられる。1966年に創設された。県河川課の山口政義防災調整監は「受賞は関係者の努力の結果。引き続き技術の研さんに努めたい」と話した。

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